第一部 テーマを決めた作品の作り方
総合司会のサワダさんが挨拶した後に、カクヨム編集長であるカワノさんが登壇。
第一部の司会はカワノさんがするようです。
そしてカワノさんの合図に従って、今度は第一部でお話をして下さる三名の方々が前へと出てこられました。
サイバーセキュリティ小説コンテスト主催のJNSAより本川さん。
地元のイイ話コンテスト主催のウォーカー編集部より九島さん。
L-エンタメ小説のプライム書籍編集部より堤さんのお三方です。
ここからは上記の三名がそれぞれの想い、考えを語られていたので、それぞれの人別に内容をまとめていきたいと思います。
【サイバーセキュリティ小説コンテスト JNSAより本川さん】
・想像力を膨らませる事で「安全安心」を高められるのではないかという考えが根底にある。
・AIにしろウィルスにしろ、「人が作り出したもの」という視点が大切。
・技術に裏打ちされた物語が良いが、全ての技術が本当である必要はない。軸になる本当の技術を大ウソで広げるのは問題ない。
・例えば、アニメ「BEETLESS」のワンシーンにもあったが、『サーバーが密集したデータセンターで戦闘をしたらどうなるか』といったように、設定を支えるネタも考えて執筆していって欲しい。
・5/13に開催する説明会では普段であれば入れないような貴重な施設の見学もできる予定なので、是非参加してみて欲しい。
・技術者であるため小説のテクニック的なアドバイスはできないが、「こういった事は可能か?」や、「こうするにはどうすれば良いか?」といった技術的かつ具体的な質問には積極的に答えていきたいし応えやすい。
・JNSAのサイトには「ハッカーが選んだネタ記事リンク集」などを公開しているので有効に活用して欲しい。(http://www.jnsa.org/novel_contest/link.html)
・その他、役立ちそうなサイトをいくつか紹介していました。
《GIGAZINE》http://gigazine.net/
《GIZMODO》https://www.gizmodo.jp/
《THE ZERO ONE》https://the01.jp/
ちなみに、牧野麻也さんが投稿されている「サイバーセキュリティと私」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054885558651)というエッセイにも貴重な情報や考え方が多く載っているので、コンテスト参加者は覗いてみると大変良い刺激になると思いますよ!
・質疑応答
Q.――スニーカー文庫と一緒に選考をするが、主催として想定している読者層はあるか?
A.―—できるだけ多くの人に読んでもらいたいが、やはり10~20代の若い男性を基本的に考えている。
【地元のイイ話コンテスト ウォーカー編集部より九島さん】
・ウォーカー編集部は各地域ごとにイベントやお店などを特集する地元密着型、地域活性化を目的とした本を出版している。
・本を出版するにあたって、各自治体との連携も大事にしている。
・カクヨムでコンテストを開催、地元の話を書籍化する事で地域の活性化に貢献したいと考えており、コンテストでは主にノンフィクションの話を求めている。
・テーマは実際に起こった事をベースにして欲しいが、ただ事実を淡々と並べるのではなく、ノンフィクションの話にフィクションを演出として織り込ませたエンターテイメント小説を求めている。
・団体名や人物名はフィクションでいいが、地域の活性化を目的としているのでエリア名などの地名はできるだけそのまま出して欲しい。
・ギネスに載る様な偉業をテーマにする必要はなくもっと身近な事で良い。周りからみたら些細な事でも、関わった本人にしてみれば大切な事など。
・具体的な作風としては、あまり名言しすぎるのも良くないと断ったうえで「池井戸潤」氏や「有川浩」氏を挙げている。
・質疑応答
Q.――実話ベースの話を求めているが、やはり取材はした方が良いのか?
A.―—出来るなら是非やるべき。取材に応じてくれるかどうかは相手次第のところはあるが、最終的には作品にかける熱量で押し切れるので積極的に取材に行って欲しい。
【L-エンタメ小説 プライム書籍編集部より堤さん】
・堤さんは元々MFブックスに所属しており、「無職転生」や「盾の勇者の成り上がり」など数多くのWEB小説を書籍化してきた。その中でWEB小説がある程度の地位を固めつつあると感じている。そこで、新たなWEB小説の方向性を模索するため新たにレーベルを立ち上げた。
・「皆さんからしたら”また新しいレーベルができた”と感じられるでしょうが、かなりの信念を持って立ち上げました」
・L-エンタメのLは”Learning”のL。本を読んでハイ終わりではなく、そこから後に行動を促せるような何かの変化を読者が得られる事が目標。
・ビジネス書や実用書と何が違うのかという質問をよく受けるが、そのような本を手に取る人は明確な目的意識を持っている。L-エンタメ小説はそういった人にではなく、自分でも知らなかった潜在的な何かに気付く切っ掛けを与えたい。
・コンセプトとして「知」・「場」・「創」の三点がある。
「知」は先ほどにも述べた様な知らない事を学び行動に移す切っ掛けになって欲しいという想い。
「場」はオフラインでもイベントを積極的に行う事でもっと小説に関わる場を用意していきたいという想い。具体的には読者が参加できる企画として「キャラクターの命名権」や「1シーンのプロット打ち合わせ参加権」などを考えている。
「創」は読者と著者が近いWEB小説に、編集も近い距離感で加わる事で新たな価値を創出していきたいという想い。
・まだできたばかりなので、これから読者に合わせた形を模索していく。
・質疑応答
Q.――レーベルによって男性向けや女性向けといった方向性があると思うが、L-エンタメ小説ではどのような方向にしていくか考えはあるか?
A.―—まずは多くの人に読んで欲しいので異世界をベースにした男性向けで出している。しかし、今後はもっと広い範囲を扱っていきたい。現在もファンタジー以外のジャンルで企画を考えている。
【その他の質疑応答】
Q.――作者や作品の知名度によって絶対的な読者量の差異が出てくる中、中間選考で読者選考を基にしてしまうと埋もれてしまう作品も出てくるのでは?
A.――読者選考だけでなく編集部によるピックアップもあるので作品は満遍なく見ている。また、読者選考のないコンテストもあり、そういったコンテストでは編集部が全ての作品を読んでいる。
Q.――コンテストで受賞する人が少ないのでは? もっと受賞の可能性を広げて欲しい
A.―—カクヨムではコンテストだけでなく、一般投稿されている作品も日夜発掘している。また、自分の興味や経験を上手くエンタメ化したものが編集の目に留まる機会は多いので、そういった意味でもテーマを絞ったコンテストに参加する意味はあると思う。
以上、第一部の内容をまとめたものでした。
「テーマの決まった作品の作り方」というタイトルだったので、もっと汎用性のある作品の作り方についても話すのかなと思っていましたが、登壇者の専門に特化したテーマについての話のみでしたね。
それでも色々なお話が聞けたのは大変参考になりました!
第一部が終了した時点で約1時間ぐらい。
この後は第二部「プロット講評会」へと続きます。
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