その8 豊穣なるヘスペリデス。
地平の彼方までを引き裂いた閃光もやがて
大いなるその
そうして生まれた幻想の中の一つが、死を司る
だが殺戮に殺戮を重ねて、剣閃の女神は心を病んでいった。
その深淵へと手を差し伸べる愉悦は、
つまりはそれが、この世界で【原罪】と呼称され、人々に
創生神ヴァールは、死の女神である彼女をウィヌシュカと名付けた。
その名が宿した意味は、罪と罰を語る資格を持つ者。
多くの生命を愚弄し踏み躙ってきた彼女だけが、
では怠惰なる創世神は、
創世神ヴァールは、転生の女神リュイリィへとその呼び名を変えて、大いなる
〓〓 〓〓 〓〓 〓 〓〓 〓〓 〓〓
「ちょっと待って。やっぱりボクは色々と納得がいかないよ」
「そもそもどこさ、ヒノモトって国はどこにあるのさ!」
カラクリ王国ヒノモトの
「ん。そんなに気に入らないかな。今度の聖典はかなりの自信作だったんだけど」
色々と合点がいかない様子のリュイリィに応じているのは、瘴気と書紀の神であるシリカであった。可愛らしいシルエットのフレアワンピースに身を包んだシリカの姿は、ともすればリュイリィよりもずっと幼い少女のように映る。
シリカの訝しい眼差しは「面倒事に巻き込まれたぞ」と言わんばかりで、聖典の主人公であるリュイリィを明らかに非難していた。
「なんだかゴーマンな言い分だと思うけれど、いいよ、文句があるなら聞いてあげる」
「だってさ、ウィヌの扱いがひどすぎない? そりゃウィヌには、たまぁに天然なところが目立つけどさ……。それにしたってこのお話の中のウィヌは、あんまりにもポンコツですっとこどっこいじゃん!」
ぷんすかと頬を膨らませながら、シリカに躙り寄るリュイリィ。
「そうかな、我ながらウィヌシュカの性格をよく捉えてるなって、自画自賛したいくらいなんだけど──、っていうか、すっとこどっこいってどこの国の言葉なのかな」
さして興味もなさそうにシリカが尋ねる。退屈そうにあくびを噛み殺すシリカの仕草を見て、今度こそリュイリィが地団駄を踏んで暴れ出すのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。