俺の冒険はここからだ!

 ……毒素分解?



「EXってついておるじゃろ」


「いやついてるけど神様……毒素分解ってさ」


「うむ。すごく毒に強いぞ」


「病気にかからないとか毒薬とかに負けない、だけ?」


「だけとはひどい言い方じゃ。EXともなれば、どんな毒だろうとも、どんな菌だろうともいちころじゃぞ?」



 聞いてるだけですごい能力なのはわかるんだけどね。

 でもなんか……地味だなあ……。



「そういえば俺が行くことになる世界って」


「正統派のファンタジー世界じゃ、お主に分かりやすく説明するとの」

 

「それって魔物がいるとか魔法があるとかっていう?」


「うむうむ。ついでに言えばステータスシステムが確立されておるぞ、あれは便利なものじゃ」


「それって、尚更はずれ能力じゃねえか!」


「ぬぉっ!?いきなり叫ぶでない!」



 少しは考えてた。

 可能性として別の世界なんだから、そういう今までとは違った何かがあるのだろうなって。

 普通にサラリーマンになる訳じゃないって……。



 だってあの神様、王族とか貴族とか言い出してたし。

 地球にもそんな立場の人たちなんていたけどさ、でもこう……なんか違和感だったんだよね。



「ま、まぁ最後まで読んでみるのじゃ……どういった家系に生まれるのかもあるじゃろ?」

 

「……こっちは当たりだよ!伯爵だってさ!どのぐらいかわからないけど」


「上から三番目じゃろうおそらく。それだけでも価値はあったのではないか」


「否定できない」


「なにはともわれ……当たりじゃよ、お主の手に入れたものは。なにせ体に悪となる中和されておらぬ純粋な魔力ですら毒素を抜いて吸収できるじゃろうて」


「だからなんだよ畜生!!」


「落ち着くのじゃ全く……で、何か質問はあるかの?」


「もう時間ですか」


「唐突に敬語に戻られても……」



 あまりの出来事にちょっと適当になりすぎてた。

 相手が神だと考えると悪いことしたなとは思ってる、少しだけ反省してます。



「ここでの記憶も無くなる感じですかね」


「いや無くならない、前の世界での記憶はなくなるがの。とはいえこんな感じに生きてたなーなんて、そういったことはしっかりと覚えたままじゃろうが。純粋に物忘れで忘れたならしらんお主が悪い」

 

「ひどい言い草だ」


「まだあるかの」



 質問、質問かー……。

 いくらでも思いつくけど、いざとなったら……そういえば。



「俺以外にも転生した人はいるんですかね」


「近くにはおらん、それこそ徒歩なら年単位の距離にはおるじゃろうて。イレギュラーで将来近くに来る可能性はあるが」


「意外と離れるんですね」

 

「近すぎても問題がありそうじゃしな」


「そのお気遣いに感謝します」


「うむ」



 たしかにチート持ちなら近くにいなくて助かった、怖いし。

 ほかのレアとかスーパーレアの持ち主とか、絶対俺TUEEEしてくるじゃん。



「最後に。俺は赤ん坊からやり直しになりますか?」


「そうじゃよ、貴族家に生まれるのだからどこかに割り込むより安全だし、将来性あるじゃろ」


「確かに」


「……そろそろ時間じゃ」


「随分長くいた気もしますが」


「そりゃそうじゃろ、体感はそうでもないがお主はここにきてから、10年はまったりしとった」


「何それ長い」



 10年?

 起きてから別にそんな時間たったような気は全くしなかったけど、俺にはわからないような別次元の話があるんだろうなきっと。



「あぁ単にお主を再構築するのにな、時間それだけかかったというだけじゃよ」


「はっはっは。こののじゃロリめ」


「遠慮無くなってきたのう……」


「すみません絡みやすくて」


「はぁ……まぁよいが。では本当に最後じゃ、もう時間じゃからお主を送る」


「ついに始まる俺の輝かしい第二の人生!!それじゃ神様お願いします!」

 

「はいはい。じゃあの……お主の人生に祝福があらんことを」


「いええええええええええええええい!」


「ほれ行った行った、じゃあの!」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る