第14話取引をしよう(1)
「いや、この子は親戚の子なんですよ。な?ラーニャ。」
ラーニャはその声がまったく聞こえない様子で顔を真っ赤にしている。
「……ラーニャ?」
「かっこいい……。」
彼女はオルメカの声を再度無視し、とても小さな声でそう呟いた。
「えっ!?」
オルメカの驚いた声に我を思いだした彼女ははっとした顔をして店主の方へ詰め寄った。
「あの!!私もここでぜひとも働きたいのですが、よろしいでしょうか?」
「お嬢ちゃんまだ若いだろう?」
「いや!!全然大丈夫です!!今年で17才になります!!!!」
店主はラーニャの食い付き具合に若干引きながら、渋い顔をした。
「でもなぁ……。」
「お願いですからここで働かせてください!!!!お願いします!!!!」
彼女の必死さに気圧されて店主は思わず首を縦にふると、彼女はありがとうございます!、と言いながら彼に握手を求めた。
「お、おう。これからよろしくな。」
「あの、お名前は?」
「ジャガルだ。お嬢ちゃんは?」
「ラーニャっていいます!!!」
店主は自己紹介を終えるとそそくさと店の奥へ帰っていった。
「もしかしてオジ専なのか?」
店主が去ったあと、オルメカは彼女に訊ねた。
「いえ、違いますよ。ジャガルさん、かっこいい……。」
それをオジ専というんだ、という言葉をグッと飲み込み、彼は彼女に微笑んだ。
「なあ、取引しないか?」
茨なんて剥ぎ取って 水瀬はるか @usaginosu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。茨なんて剥ぎ取っての最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます