後書き

三つのお話のテーマは「生と死」そして、それに触れた六人の主人公のお話しだ。


まずは一つ目。仮面を被った人気者の少女と、ひとりぼっちの少年のお話。少女は自分の意思とは関係の無い、直しようのない事で苦痛を味わい、それから自分を守るために自分なりに努力した。しかし、その結果自分を追い詰めるようになってしまった。自分を死に追いやるほどに。

一方少年は“お人好し”だった。自分の身を傷つけて相手を救うことになんのためらいもない子だった。だから少女を救った。自分の身が傷つくことを何も気にせず。

私が伝えたかったことは“救いの手を掴むことの大切さ”だ。誰しもどうしようもなく追い詰められることかあるだろう、このお話の少女のように。しかし、そんな時きっと手を差し伸べてくれる人がいる。このお話の少女はその手を掴んだ。深い闇に逃げずにやり直す方を選んだ。そして、それはきっと成功したのだ。現実で時が戻ることはきっと無い。しかし、どんな時でもやり直す事はできる。何度でもだ。また、ひとりぼっちの二人は最後には三人になった。彼らの物語は“光”と共に続いていく。彼らの“負の象徴”であった屋上は“幸福な今の象徴”に変わっただろう。


二つ目のお話。暗く悲しいお話だった。私は、何度も彼らを生かそうとした。しかし、それが彼らにとってのハッピーエンドでは無いことを誰よりも知っていた。あれが彼らなりのハッピーエンドなのだ。

このお話で伝えたかったのは“死の重さ” この世界では“生”はとても重い事と捉えられる。しかし、“死”も同程度に、ある人にとってはそれ以上に重いのだ。その人にとって“死”にこそ意味があることもある。

少女は酷い虐待を受けていた。毎日、毎日を怯えながら暮らし、そんな生活から逃げ出した。しかし、そんな心身共にボロボロの少女に声をかける人はいなかった。

彼は逃げ出したい場所から逃げ出せずにいた。逃げたくて逃げたくて、毎日逃げようとするものの、逃げた先にある深い闇が怖くて、光のない今にしがみついていた。

そんな彼らは出会った。これは、傍から見れば悲劇のように思える、彼らの喜劇の始まりだった。

彼は少女を守りたいと思った。少女も彼を大切に思った。

少女は彼だから共に逝こうと思った。彼も少女だから共に逝こうと思った。

お互いがお互いだからこその結末。

彼らにとって“生きること”はなんの価値もないことだった。だからこそ“死ぬこと”を選んだ。

近年『自殺』の報道が増えていると感じる。そこでは大抵『どこに責任があるのか』が主題となる。「あの子が亡くなってどう思う?」そんな事をクラスメイトに聞いてもいた。

吐き気がした。何故『その人の死』に誰も目を向けないんだろう。“生”は尊ばれるものだ。当然だ。しかし、“死”も尊ばれなければならない。その人の“死”に何かしらのメッセージがあるのならばそれを受けとらなければならない。

そのメッセージとは決して『誰のせいか』を伝えたいものではないと思う。

もっともっと、『人の死』というものを考えて欲しい。

この物語の彼らも決して逃げたのではない。『次』へ行ったのだ。『二人なら』きっと大丈夫だと。新しい日々に期待をして、幸せに逝ったのだ。彼らの死には、確かに生よりも意味があった。


三つ目のお話

このお話は一組の幼なじみのお話だ。明るく振る舞う少女と、そんな彼女を妬ましく、しかし大切に思う少年。

明るく楽しそうに毎日を過ごす少女の命は消えようとしていた。そんな中、何もかもを諦めている少年に大切な事を伝えようと必死で毎日を生きていた。

このお話は“やりたい事をやる”大切さを重点に書いた。

生きている上で辛いことなんて星の数ほどある。ただそれに縛られて生きるのは勿体ない事だ。行動する事で何かが変わるかもしれない。何かを残せるかもしれない。

彼女は『やりたい事をやって欲しい』という願いを彼に遺した。死が迫っている中でも、毎日を笑って過ごしていた彼女の想いは確かに彼に届いただろう。

私達はしばしば、やらなきゃいけない事に囚われているように思える。そのせいでやりたい事をやらず、いつしかやりたい事なんて忘れてしまい、ただやらなきゃいけない事をやるロボットのように生きる。

そんな生き方は楽しいのだろうか。やりたい事をやらず、今の環境に諦め、ただただ無感情に日々を過ごす。

そんな事にはなって欲しくない。死がいつ来るかなんて分からないものだ。今日事故に遭うかもしれないし、明日病気で倒れるかもしれない。そんな時に後悔するような人生は生きたくないと思う。

全ての人に環境に囚われず、やりたい事をやる人生を送って欲しい。


最後に

このお話はただただ私の中での死生観を書き連ねただけのお話だ。

生と死は表裏一体。今生きてるいるからには、いずれ死が来るものだ。

私は色々な事をやって、後悔のないように生きたいと毎日思っている。

人によって死生観は違うだろう。色んな人の生死感が知りたいと思いつつ、こんなに長い文章を読んでくれた人に感謝を込めて、この長い後書きを締めようと思う。

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生と死の短いお話 青空リク @yumeumi

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