大魔女の卒業試験

作者 佐藤ぶそあ

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★★★ Excellent!!!

 レビュー表題、なにひとつ嘘はついていないのですが、感覚的にはもう完全な嘘です。
 といっても、別に捻ったお話ではありません。お話の筋はものすごく真っ直ぐで、しかも丁寧に描かれていて、そのうえ盛り上げどころを外しません。読んでいて気持ちがいいです。読後感もとてもよくて、なので読み終えてもずっと気づきませんでした。
 ――このお話、お婆さんが主人公なのでは、と。

 いやこの「主人公」という言葉がある意味嘘なのですが、でも詳しくは最後の方で触れます。ネタバレというか、物語の核となる部分に大きく触れてしまいますので。

 主人公は十三歳の女の子、ユア(ユアリアス)さんです。どこかから大きな街へとやってきて、宿を取ろうとしている場面から始まります。街はなにやらお祭りの直前で、そしてユアさんは何者なのか、過不足なく丁寧に語られていきます。
 どうやらユアさんは魔女でした。いままで森の奥でずっと魔法の修行をしてきて、初めて大きな街にやってきた女の子。お祭りは箒での飛行大会で、彼女の目的はそれに参加することです。

 魔女というもの。魔法とはなにか。大会の意義とは。それらの詳細はしかし丁寧かつ細やかに、そして個性ある人々との掛け合いによって詳らかにされて、その自然さが読んでいて実に心地いいです。物語世界そのもののありよう(要は設定)も、その世界に暮らす人々も、つっかえることなく自然と脳内に想起され、そして膨らんでいく。物語の語られ方、組み立て方が実に丁寧で、勢いの早すぎるところや間延びすることもなく、それが本当に面白いのです。

 出来がいい、なんて言い方だと、どうしても偉そうに見えてしまいますが、本当に丁寧に組み立てられた物語。ストーリーの進み方が気持ちよくて、こればかりはもう「読んでみて」としか言えません。
 ひとつのお話としての、とてつもない完成度の高さ。見習いたい、という気持… 続きを読む