第152話 主砲発射!

 デューク達はキノコ船に対し、砲身を揃えて射撃位置に付き、迎撃の構えを取りました。


「主砲へのエネルギー伝達順調――――主弾薬を生成中!」


 デュークは縮退炉から砲塔へのエネルギーを伝え、その内部にある弾頭生成器を使って弾薬を作り始めました。それらはいくつかのパッケージとなり、彼の弾庫に蓄積されてゆくのです。


「射撃指示器官、デュークとリンクするわ!」


 ナワリンはデュークの射撃用副脳とリンクして、統制射を行う準備をはじめました。デュークの主砲とナワリンのそれは口径が近いので、射撃データを共用すると都合が良いのです。


「距離成分、加速成分よぉ~し、上下左右角度よぉ~~し!」


 ペトラは視覚素子をキラリと輝かせ、キノコ船の距離を測りました。彼女の射撃用副脳は敵艦の加速の度合いから進路予測を行い、そのたびに砲身を上下左右に振るのです。


「規定弾数用意よし!」


「データリンク完了!」


「測的、誤差修正、いつでもいけるよぉ~~!」


 デューク達は、メノウの指揮用副脳にアクセスして「準備完了」を告げました。


「よろしいわぁ――――」


 送られてきたシグナルに迷いがないことを確認したメノウは、ブォンブォン! と連続した重力波のアラート音を鳴らしました。それは4隻の龍骨の民が、統制射撃の準備を完了したことを示します。


「主砲――うちぃ――かたぁ――――――――――」


 メノウは、ブォォォォン! という重力波のアラートを鳴らして――「はじめぇ!」と命じました。


 デューク達は命令を受けると、龍骨の中で「よーい……撃ッ!」と、口ずさむのです。


 龍骨の中で作られたコードは、射撃用副脳を経由して砲塔内に収められた砲に伝わります。コードを受けた砲は、薬室に収められた弾薬パッケージに「開放」とシグナルを送りました。


 絶縁体で出来ていたパッケージは簡単に解け、中からとある極低温の凝縮体が顔を出します。それは、ポジトロニウム――電子と陽電子という互いに相反する性質を持つ、物質と反物質からなる複合粒子でした。


 励起された粒子は、142ナノ秒という僅かな時間で対消滅を起こします。重金属でコーディングされた砲身の底で起きたその反応は、強力なエネルギーを持つ強力なX線、いわゆるガンマ線を作ります。


 ガンマ線は、砲塔の先に向けて舞い上がり、光の速さで砲口を駆け抜けます。


 ギョガッ!


 デュークらの主砲が火を吹き、三連装三基、連装三基、連装四基、単装五基、合わせて28門の光学兵器から、まばゆい煌めきとともにガンマ線レーザーが飛び出したのです。

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