第151話 砲撃準備

 凄まじい閃光が巻き起こり、すべてを焼き尽くすような火球が何十と燃え上がりました。駆逐戦隊は爆発の余波に巻き込まれないために、全力で遠ざかっていきます。


「ふぇぇっ、アレだけの爆発を食らったら……僕でも痛いじゃすまないぞ……」


「あんた耐えるの前提なのね。私だったら、全力で回避するわ。というか逃げる」


「でも~~あんな速さで群がられたら、逃げられないよ~~」


 デューク達は「駆逐艦というものは、おっかないものなんだな」などと思うのでした。


 しばらくすると、対消滅爆発の閃光が静まり、電磁波や放射線の嵐が落ち着いてきます。


「ん、感度が戻って来たぞ。どうなったかなぁ?」


 デュークは自前の視覚素子の調子が戻ってきたことを感じ、キノコ船はどうなったことかと、眺めるのです。すると――


「ふぇっ……まだ生きているぞ!」


――数百メートルの物体、キノコ船の姿が目に入るのです。


「さすが重装甲型の拡大版だわねぇ。前方装甲――傘の部分を削ってもぉ、胴体部分が残ったかぁ」


 メノウは「面倒なこと」と呟きました。彼女が言う通り、キノコ船の大きな傘のような前方装甲の大半はボロボロになっていましたが、胴体部分は今だ健在だったのでうす。


「「生物なまものなのに~~しぶとすぎぃ!」」


 ナワリンとペトラは、キノコ船の頑丈さに呆れるのでした。


「対消滅って、核反応を100倍くらいにしたものですよね。よく耐えられたものだ」


「多分、傘の部分が中空になっていて熱を遮断したのだわぁ。いわゆる空間装甲ってやつね」


 メノウは、キノコって「知性を失う前から、防御に優れていることで有名だったのよぉ」などと言いました。


「まだ、戦う力があるんですね」


「というより、生き残るための力が残っている――そんな感じかしらぁ」


 キノコ船の


「さ、て、とぉ……私たちで止めをさすわよぉ。砲撃用意して頂戴ね」


「「「了解です」」」


 メノウが砲撃の指示を出したので、デューク達は必要な準備を初めます。


「射撃位置に着いたわ」


「主砲にエネルギー伝達開始!」


「敵の諸元はっと~~」


 デュークは背中に載せた砲塔をキノコ船に指向し、三連装三基のレーザー砲をギラリと輝かせます。ナワリンは連装砲塔を全て投射できるようにカラダを斜に構え、ペトラは測距儀の調子を整えました。


「距離があるからぁ、統制砲撃をするわねぇ。デューク君とナワリンはペアになって頂戴。ペトラちゃんは、私と一緒ね」


 ペトラが「え~~ボクもデュークと一緒が良い~~!」などと抗議するのですが、主砲のサイズと精度が揃わないので、仕方がないのです。

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