第13話 活動体、フネのミニチュア その3

「よし……取り出すぞ」


 ゴルゴンが摩耗したドリルを差し替えること数回の後、バキン! という硬質な音が鳴りました。


「デュークや、口の中のものを吐き出しなさい」


「モグモグ……ペッ!」


 デュークがと口内のものを吐き出すと、白い膜に覆われた数メートルほどの塊がゴロリとネストの床に転がりました。ゴルゴンはそれをつまみ上げ、ハサミでジョキジョキと切り始め、中にあったものを取り出します。


「ほぉ、よく育っておるのぉ」


「ああ、年相応のものだな」


 オライオとゴルゴンが、取り上げた小さな物体を眺めて感心しました。


「なにそれ?」と、デュークがゴルゴンの手元を覗き込むと――


「あ、小さなフネだ。これって、もしかして!」


「そうだ、お前自身の活動体だ」


 ――デュークの姿がそのまま小さくなったような活動体が現れるのです。


「我ら龍骨の民は、体内で活動体を生成しているのだ」


「知らんうちに、こうやって生えてくるんじゃよ」


 幼生体が成長すると、ある時期に頃にカラダのどこかに活動体が生えてきます。それは主に歯の辺りに現れて来る事が多いのです。


「へぇ、僕ってこんな形をしてるんだねぇ~~」


 デュークが自分のミニチュアをマジマジと眺めて、感心しました。


「すごい~」


 デュークは自分のミニチュアをまじまじと眺めたり、クレーンの先でつつきました。材質はフワフワでちょっとモコモコしています。


「これって僕のカラダの一部なんだよね?」


「そうだ、お前のミニチュアだから、思念波を使えば思い通りになるのだ。目を閉じて念じるのだ」


 ゴルゴンが「試してみなさい」と言うので、デュークは自分の活動体を床にそっと置き、目を閉じてかすかな響きを持つ思念波を発します。


「動け――」


 でも、デュークのミニチュアはピクリとも動きません。


「だめだよ、うごかないや」


 デュークは思念波をもっと大きくしなければいけないのかなと思いました。


「うごけ――!」


 気合の入った思念波が放射されているようですが、それでも活動体は動いてくれません。


「デュークよ、活動体はお前自身なのだ。動かすものではない――――その中に入るような――そこに自分を移すようなイメージを持ちなさい」


「自分自身……」


 ゴルゴンのアドバイスを受けて、デュークは思念波を用いながら、活動体の中に潜り込むようなイメージを持ちました。


「僕自身――活動体は僕自身――」


 すると、何かがブワリと広がり、ドクン! とした震えが起ます。


「なにこれっ⁈」


 デュークは不思議な感覚が自分の龍骨の上を走っていくのを感じました。


「活動体との間に思念波のリンクが出来たな。よし、目を開けてるのだ」


 ゴルゴンが、目をゆっくりと開けなさいというので、デュークは恐る恐るバイザーを開けました。

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