第3話 意識
「うーん、どうすればいいんだろ」
アロエは路地から抜けて、大通りへ。360度レンガ造りだ。たくさんお店が並んでいるのは分かるのだが、
「どうせこの世界の文字は読めないパティーンでしょ…?言葉通じるのに…」
とはいえ、行く宛も無いので近くの店に入ってみようと思い、すぐ横にある大きめのお店を見る。看板には、フォークとスプーンのイラストと共に『ジニア食堂』と書いてある。
──────ん?
字体を見るからに、日本語でも英語でもない。恐らく、この世界(もしくはこの国)固有の言葉なのだろうが……。
「読めちゃってるんですけど!?」
アロエは大通りのど真ん中で、大きな店に向かって声をあげた。
一気にアロエに視線が集中する(大通りに出たときから既に視線がキツかったのだが)が、慌てて、すみません…と場をおさめる。
特にあの、首にしましまのマフラー巻いてる女の人なんてさっきから凝視してくるんですけど!?
ふぅ。
さぁ、気を取り直してお店に、と思ったが、そういえば自分はお金持ってねぇなと思いだして足を止めた。
あー、
「お金とかチートスキルとか従者がいたらいいんだけどなー」
なんて愚痴をこぼした。と同時に、改めて異世界なのだ、と実感が少し沸いてきたのだった。あと、何故か懐かしくも感じられた。
そして、思い出した。
──あの少女が『私を見つけて』と言っていたことを。
(もしかして、私がこの世界に来ることを知ってたのかな…?取り敢えず探してみよう)
アロエは少し小走りで街中を見回る。
全くあては無いが…────とそのとき、またしてもペンダントが光った。
道案内をしてくれそうな気がするからお願いしますっ…と勝手に願いを込めて、より光が輝いた道を通ってく。
へとへとになってきたところで、やっと小柄で深い青色の髪の少女を見つけた。
大通り、人混みをかき分けて少女の方へ。
「あっ、あの───」
少女は振り向くと、
「酒場・アザレアの裏口二つ目で『青髪とジャケット』って言って」
と言い、アロエを突き放した。
「え?」
───ブチッ。
ジジジジジジジジジジ…
──────再試行《リターン》
深い深い意識の底。
─────。
────────────────。
───────────ぇ────
ねぇ────────
あなたは
やっぱり
私の───────────
理解者───────
意識がっ…………
─────。
───────。
「…………はっ!?」
アロエの目の前には、
『ジニア食堂』と書かれた看板が。
近くにはこちらを凝視するしましまマフラーの女性。
何が起こった…?
取り敢えず「『──酒場・アザレア』を探せばいいの!?」
またアロエは駆け出した。
私でも勇者になれますか? たけぎつね @taketoneko
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