第16歩目!「意外な告白」
凛子の企みによって光国の追跡調査を行っていた彼女と新入生3人組。
繁華街の裏路地を進んだところにある怪しげな店に入店した光国を慌てて一行は追いかけた。
「待ちなさい!」
「誰を追いかけてるの?キラッ☆」
「うわあああぁ!」
店に入ろうとした凛子だが、待ち伏せしていた光国に驚かされる。
「尾行はよくないネ☆俺っちにだって秘密の一つや二つはあるよっ☆」
「ぐぬぬぬ...」
ハンカチを噛み締め悔しがる凛子の頭を撫で、光国は表路地を指す。
「せっかくだらさ、みんなで遊んでいこうよ!」
「光国さん、結局ここで誰と会う予定だったんですか?」
「秘密☆まぁ時が来たらまた教えるよっ!」
光国は拓海の質問も軽くあしらった。本当に掴み所のない男だ。
そしてバレないように光国はそっとメッセージアプリで「すみません、今日は会えそうにないです。」と送信した。
一行はアニメカフェに移動して光国に事の顛末を語った。
「なるほどー、そんなに僕の事が知りたかったんだネ☆拓海っち!」
「やめてください、気持ち悪いです。」
「もーつれないネ☆」
光国は拓海にちょっかいをかける傍ら、ストローから飲料に空気を運び、泡立てる遥を百合が咎め、それから視線を左にずらすと
凛子が小一時間ずっとしょぼくれていたので百合が気を遣う。
「凛子センパイ、そろそろ元気だしてください。」
「だって...」
「どうしたんですか?」
俯く凛子の頬に光るものが見える。
「私...彼女なのに...何も教えてくれないもん...ぐすっ。」
「あーなるほど!光国センパイ、それは悪いですよ!彼女なのに!!ん?彼女?」
聞きなれない二文字に1回生3人組は数秒戸惑う、そして顔を見合わせ絶叫する。
「彼女ーっ!?」
「あららバレちゃったネ☆隠してた訳では無いんだけど...」
「ごめんなさい。ちょっと理解が追いつかないです。」
「ちょっ、遥!遥ー!」
衝撃の告白に思わず遥は卒倒し、その場の全員が慌てふためいた。
その頃、裕美は帰り道でお気に入りのアニソンを口ずさんでいた
「恋はカオスの...♪」
ー
帰りの電車に揺られる3人組、1日の情報量にどっぷり疲れていた。
遥は大きく息を吐きながら語り出す。
「いやー、びっくりしたね。本当に。」
「まさかあの二人が付き合ってるなんて思いもしなかったよ。百合はどう思った?」
「あまりにびっくりし過ぎていつから付き合ってるかとか諸々聞くの忘れちゃったわ。康弘センパイと裕美センパイは知ってるのかしら。」
3人は光国の謎を解くどころかますます謎が増えてしまった。
もちろん2人の交際を康弘と裕美は知っている。
時を同じくして例のスキャンダルカップルは凛子の自宅へと足を向かわせていた。
「そろそろ機嫌を直してくれませんかい、お嬢様。」
バツが悪そうに平謝りする光国、この状況で無理もないが、いつもの茶目っ気は鳴りをひそめる。
「やだ。アホ部長。」
「ちゃんと時が話すからネ。第三者の目を通して精査しま...」
「こんな時もふざけてるもんね、もう知らないハゲ!」
前言撤回しよう、やはり光国はふざけている。しかし凛子は少し笑ってしまっていた、これではやはり光国のペースだ。
「会おうとしてたのは拓海っちに関係してる人なんだ。これ以上は言えない。ホントごめんネ。」
「拓海の!?なんでよ!」
「今は言えない。その内ネ!」
二人はいつの間にか手を繋いでいた、交際しているものの、普段ではありえない光景だ。
二人がなぜ付き合ったのか、その話は長くなってしまうので今回はここまでで失礼しよう。
そう言えば、この物語の語りは誰だって?
それもまたいつかの話で。
僕がオタクを始めたら たかとん @takato1228
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