第15歩目!「尾行調査?」
「おっつかれぇーい!今日もみんな元気かな!?キラッ☆ってみんないないの?」
一ノ瀬大学別館、オタク同好会部室。
いつもの様に大袈裟なテンションで扉を開いた光国だが、部室は空だった。
数時間待って誰も来なかったので、光国は大人しく家に帰る事にした。
「帰ったら録り溜めたアニメの見放題だネ☆帰ろっと!」
アニメキャラクターの缶バッジがぎっしりついたリュックを背負い、部室から退出する。
すると布のかかった部室の物置がガタガタ、と揺れる。
「ぷはー!やっと出れた!!ってみっちゃん先輩行っちゃいますよ!」
そこから飛び出したのは拓海と凛子と百合、そして遥だ。
「ふふふっ、今日こそあのアホ部長の化け皮をはがすわよ♡行くわよ!下級生たち!」
ー
数時間前、凛子の号令により、光国以外の部員が緊急招集された。
「なんだよ、乳女。早く帰ってネトゲやりてぇんだけど。」
「うむ、緊急招集とは何事だ?今日は調べ物がある、速やかに要件を教えてくれ。」
康弘と裕美は何を企んでいるんだといったやれやれ状態で質問を投げかける、上回生組のアホ担当は凛子らしい。
「まぁまぁ、落ち着きたまえ諸君。ズバリ!あのアホ部長の追跡クエストに出かけようではないか♡」
「阿呆らしい。帰るわ。よくできた後輩よ、無視して帰るのが得策だ。」
「うむ、アホ部長ならお前はアホ部員だ。脳の養分が全部乳に流れてるんだろう、私も調べ物に行く。」
「ちょっ!裕美まで酷い...」
やっぱり馬鹿な要件だったので康弘と裕美はさっさと引き上げ、部室には下級生たちが残された。
「でも確かに、部長の素性って謎ですよね...ゴクリ。」
「でしょっ♡さすが遥ちゃぁん、ンフ、もう、違いのわかる子ね♡」
案外乗り気な遥を見て、拓海はこれは自分も行くしかないとクエストに参戦する。
「みっちゃん先輩に一泡吹かせてやりましょう!」
「え、そ、それじゃあ私も。オー!」
それに釣られて参戦する百合。彼女から順番に拓海→遥と、恋の矢印が流れていく。
「まずいわ!みんな!アホ部長が来る!とりあえずそこに隠れて!!」
ー
改めて、尾行大作戦を開始した四人。
光国は学校を出たあと、繁華街へと繰り出していた。
「凛子さん...別にたいした場所に行ってなくないですか?ゲームセンターにアニメショップ、それからフィギュアショップ。」
「うるさいわね!黙って着いてきなさい、尻尾は掴めてるのよ!」
何やら先日、凛子は光国のスマホに映し出されたメッセージアプリの通知を目にしたようだが、そこには女性の名前があったらしい。
「でもそれって凛子先輩に関係あります?」
きょとん、とした顔で百合が凛子に投げかけた質問は、正鵠を射る。
「い、いや!そのいいじゃない、何でもっ!」
オタク同好会の恋の矢印は様々な方向へと入り乱れているようだ。
「あっれれぇぇ、おかしいぞぉ~。」
「どうしたの?コナ...」
「やめてください、凛子さん。遥もどうしたの?ってええ!まずいよ百合!!」
「すぐ追いましょう!!」
遥が指さした方向はいかにも怪しげな看板。
光国はその看板の路地へと足を踏み込んで行った。
「よぉぉし!キックボードを...」
「それを言うならスケートボードだし、遥、さっきから何言ってるんだよ...」
光国の内偵調査は次回へと続く。おそらく。ネタがあれば。
その頃、裕美は図書館である一大イベントの資料を目に通していた。
「うむ、夏休みはこれで決まりだ。」
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