第14歩目!「異能に目覚めた!?」
「オラオラオラオラーーーー!!」
「無駄だ、お前はもう死んでいる。」
「地球の平和は私が守るわよ♡それっ♡」
「きゃーっ!皆さんかっこいいですぅ!!」
一ノ瀬大学別館、オタク同好会部室にて、戦いは繰り広げられていた。
背中にマネキンをつけた光国、腕に包帯を巻きつけた裕美、そして魔法少女ステッキを振りかざす凛子、それを楽しそうに眺める遥の構図、部室の書類が散らかる。
「あっ、えーと。色々問題にありますよねこれ。」
「よく出来た後輩よ。放っておけ。相手にするな。」
ヘッドホンを付けいつもの様にソシャゲを楽しむ康弘は呆れる拓海に無駄なツッコミは辞めるように促した。
この同好会、意外とマトモなのは康弘なのではないかと新米部員の百合は頭にメモ書きをした。そしてすっと息を吸い込んだ。
「ま、まずいぞ!よくできた後輩よ、新入りのストレス耐久値が100、いや???%?」
ゴロゴロと雷鳴が聞こえる。(ような気がしただ
「いい加減にしてくださーーーい!部室めちゃくちゃじゃないですか!先輩達は早く片付けて!遥も一緒になってんじゃない!」
「ゆ、百合わかったから1回落ち着こう、遥が震えてる。」
「ご、ごめんなさい。うぅ...」
両耳に角を二本生やし、髪を逆立て怒鳴りつける百合。あまりの勢いに康弘は椅子からひっくり返り、遥がと言った拓海も怯えながらなだめる。
「ご、ごめんネ。」
「すまない。少々度が過ぎた。」
「百合ちゃんって怒ると怖いのね...」
暴れていた上回生はすぐに片付けを始め、あまり怒らせないようにと心に誓った。
ー
「それで、先輩方、急にバトルごっこなんてどうしたんですか?」
拓海は散らかった資料をまとめ終え、事情聴取を始める。これも取り調べごっこだ。
「実は今日朝起きて、机の紙を触ったらくっついたの!これは超能力に目覚めたのじゃないかってネ☆」
「ちょっと寝苦しくなってきたですもんね。汗でしょそれ。」
服についた埃を叩きながら裕美が解説を始める。
「異能力はなかなか興味深い。非現実的だが、そこに趣がある。拓海、お前はユリ・ゲラーを知っているか。」
「ま、まぁ...あんまり超能力の類はわかんないですね。アニメもまだ異能系は見てないです。」
「えー!勿体ない!拓海君もったいないよっ!」
「は、遥近いよ...」
机に乗り出した遥と拓海の距離はいつかのデジャヴだ。キスができるほど近い。当然、拓海の顔は紅潮する。
康弘は「よくできた後輩よ。童貞丸出しだな。」と告げようとするが、百合の制裁を受けたので言葉はかき消された。
「ギュルルル...」
部員全員の目が一点に集中する。
「えへへ♡お腹すいちゃった!」
「異能より、やはりお前は食い意地か。凛子。」
凛子は見つめられたら緊張するよと指を咥え、足を絡めるポーズを取るが全部員がため息をついた。
ー
「まぁ、私も異能系は好きよ。自分手から炎が出ないか試したことはあるし。」
「へぇ。百合もそんな事するんだね。私も昔は魔法少女のステッキ振ったな。」
「遥ちゃんの魔法少女ッ♡はァ...んふ♡」
一行はコンビニで買ったスナックを頬張り、異能系談義を進めながら帰宅の途につく。
拓海は最後尾を歩く、バレないように自分の手を地面につけて目を瞑る。電撃なんて出る訳ないよなと我に返った頃にすぐに後悔する。
「あっれれぇぇ☆拓海っち何してるのかな?」
「よくできた後輩よ、お前はたまに馬鹿だな。」
「俺は何もしてないよ!!」
拓海の蛮行を目撃した光国と康弘は抱腹絶倒。拓海は恥ずかしくなって走り出して行った。
「ちょっ!拓海どうしたの?」
「拓海君待ってよお!」
「うわああああああ!」
1人の少年が触れたコンクリートは少しだけビリビリしているような気がしたが、それも気のせいかもしれない。
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