Root/

 夢を見ている。

 そう気づくのに、時間は必要なかった。

「じいちゃん」

 そこに立つ、懐かしい人影に声を掛ける。返事は無い。

「やっと分かった。じいちゃんの言葉の意味も、僕のやりたいことも」

 目の前には二人の女の子がいた。

 一人は涙を流して俯き、一人は涙を堪え空を仰ぐ。

 対照的で、対称的。それを知るのは、きっと自分だけだ。

 ならば――

「僕は、ずっとヒーローになりたかったんだ」

 救わなくてはならない。

「女の子が泣いていたら、助けられるようなヒーローに」

 祖父は静かに微笑んでくれた。

「ずっと、見てくれてたんだね」

 だから、紡も微笑んでいた。

「僕は、自分だけの物語を、紡ぐよ」


「ありがとう――」

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