出会い、別れ、進学、就職、花粉、エイプリルフール……。そこら中にちりばめられた春を背景に、物語は車の中でゆっくりと進みます。前編は会話を中心にテンポよく進んでいきますが、後篇になると一転心情描写が中心となり作者の言わんとする場所が徐々に露わになってきます。最終部の会話を冗談ととるか本気ととるかで、物語のイメージがガラッと変わってくる作品です。
4月1日は嘘をついていい日だ。嘘は、人を傷つけるものもあれば、人を慰めるものもある。嘘は時に、刺々しい現実をそっと包んでくれる。世のあれこれを飲み込むためには、嘘でステアすることも必要なのだ。