第2話 ルナ・メンシスの正体

昼は人で賑わっている街も、深夜になると静寂に静まり返る。

「こんな夜中にどこにいるんだろう?ルナさん...」

ソールは一人で夜の街を歩き回った。

休日に散歩しているとはいえ、道がはっきりとはわからない。

とりあえずいつもの散歩の道を行くことにした。


昼に雨が降ったこと、それに夜の気温の低下で肌寒く感じる。そう思いながら両腕を擦り歩き続けた。


しばらく歩くと、木や草、花が広がっている子どもたちが遊ぶ広場に近づいて来た。ソールもよく友だちと遊びにくる場所だった。そう思っていると広場の方から物音が聞こえてきた。


「何だろう?もしかしたらルナさんがいるかもしれない...」

そう思って広場の方へ走っていった。


広場の入口に着き、入ろうとした時、何か動物の声が聞こえてきた。それも一匹ではなく複数だった。

出来るだけ静かに、物音を立てずに声のする方へ歩いた。


ソールは木の影に隠れて声のする方を確認した。月の明かりが照らして見えた様子はオオカミのような動物がルナの周りを囲んでいた。


すると一匹のオオカミがルナの方へ飛びかかった。

瞬間、そのオオカミはルナの横に倒れこみ立ち上がる事は無かった。


ソールは状況を把握出来なかった。

ルナの右手には鋭く長い剣が光って見えた。


一匹に続きほかのオオカミも襲いかかった。しかしルナは剣を振るい、いとも簡単にすべて倒してしまった。


ルナは一息ついたあと地面に剣を刺した。その剣は少し光を放ったあとに消えていった。


「ルナさん?...」

整理のつかない状況で思わず声が漏れた。

その声に気がついたルナはそっとソールに近ずき話しかけた。


「もう夜も遅いからとにかく今は家に戻ろうか。事情は朝になってから話してあげる」

そういうとルナはソールの手を握り何かつぶやき始めた。

一瞬の事だった、気が付くとそこは自分の家だった。


「おやすみなさい」

ルナは一言いって寝室へ戻っていった。


ソールは今起こっている事を何一つ整理する事が出来ずベッドに戻った。

ベッドに潜ったあとも、考えていたが何も分からず眠りについてしまった。


寝室の窓から眩しい光が差し込んできた。昨日の雨もあってか今日は太陽がキラキラ照っていた。


ソールはベッドから体を起こし、顔を洗ったあと食事をとるためテーブルに向かった。そこには食事を済ませたルナが居た。

「私は先に出るよ。後で昨日の広場においで」


母には聞こえぬように、そっと耳の近くで言った。その後、お礼の挨拶を母にしたあと家を出ていった。


「ごちそうさま」


食事を済ませ、服を着替えたあと勢いよく家を飛び出し、広場へと走っていった。





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