ブラウニーとレサ


多分あの子も今手元に残ってるっていう養子の一人なんだと思う。

年は多分オレより上かな。子供から女の人に代わっていく途中って感じだった。背もオレより頭一個とまでいかないけど高かったし。


「ツバサー、大丈夫?コゥチャにびっくりしちゃった?」


「あ!あの子追いかけないと。オレずぶ濡れだったのに」


「寒くないしあれくらい平気平気。あ、ブラウニーただいま。タオルありがと」


「わぷっ!なにっ」


レサさんの呼びかけに驚きから回復して抱き着いて来たあの子もびしょ濡れになったんじゃないかと気付き追いかけようとしたら突然大きなタオルが被せられ問答無用で拭かれて慌てる。

これ実はツイードさんとお風呂に入った時にも似たような事された。あの人はもっと荒っぽくてタオルの中で目を回しかけたけど、今回のはそんな事なくて柔らかく包み込まれ優しい手つきで拭かれる。タオルをかぶせられてるから誰か見えなくてタオルを掻き分けて顔を出すと淡い色のワンピースドレスを着た人形みたいに綺麗な少女の澄んだ水色の瞳と目が合った。


「あの…自分でやるんで…」


拭くくらい自分で、と主張してみるけど首を振られもう一度包み直し髪も服も柔らかく拭かれる。結局タオルから解放されたのはほとんど髪や服が乾いてからだった。ほとんど綺麗に乾くと満足そうにタオルを取り、レサさんからもタオルを預かるとまた室内に戻って行った。


「やっぱりブラウニー子供の方が好きだねー。ツバサも入って入って。何か飲んでから帰るくらいの時間はまだ有るでしょ?」


「えっ、あぁ…それくらいは。じゃあ、少しだけ」


頷くと満足そうに笑ったレサさんにまた手を引かれ室内に連れて行かれる。

その間にさっきブラウニーと呼ばれてた少女が戻って来て玄関に置きっぱなしになっていた紙袋を軽い物でも持つ様に両腕で持って回収して行った。


「あの、レサさんあの人って?可能も養子の1人ですか?」


「ブラウニー?あの子もうちの家族!妖精だけどね」


「はい?」


「あ、そうだ。頭に乗ってた子育てるならたまにシロップ花の蜜あげたら良いよ。あの子達の好物だから」


「えっ、あのレサさん…アレ、見えてたんですか?っていうか妖精見えるんですか!?」


神官さんやエアリエル達の話じゃもう見える人全然居ないみたいな感じだったのに。というか頭に毛玉シープ乗せてたの見られてた…。妖精らしいけど頭に毛玉乗せてるとか子供みたいで恥ずかしい…。


「あたしは妖精だけなんだけどね。ココァただいまー。あー、また勝手におやつ食べてる!アンタお手伝いポイント減らすからね」


「おかえり、母。大丈夫だ。既にもう使ったから無い」


「じゃあマイナススタートね!」


「その手があった…ぬぅ」


リビングのような大部屋に入るとさっきの赤毛の子と同じ年くらいの焦茶のショートカットの子が本を片手にもくもくとラスクみたいなお菓子を食べていた。声は女の子っぽいけど口調が淡々としていて性別が分からない。


「母、後ろの猫が戸惑っている」


「ん?あぁ、ごめん!ツバサ。とりあえず座って」


「あ、はい」


促されるまま椅子に座ると待っていたようにブラウニーさんが飲み物の入ったグラスと白雪用だろう、水の入った小皿を置いてくれた。お礼を言うとまたどこか満足そうに頷いて去っていく。話せないのかな。


「ちなみにさっきツバサに抱き着いてったのがコゥチャ。で、この子がココァ。分かりにくいけどこの子も女の子だよ。あの子とは双子でねー」


「母、性別情報は必要か?」


「だってアンタややこしいもん。先に教えといた方がややこしくないでしょ」


「レサさん、ややこしいって…。あの、お邪魔してます」


判断に迷ったのは確かだけどややこしいってそんなばっさりと…。なんと言えば良いか反応に困った結果そうとしか言えなかった。たつきがよく言ってたコミュ症ってやつみたいだ。


「今更だな。反応に困ったなら無理しなくて良い。敬語も。もっとフランクで大丈夫だ。うちの人間は誰も気にしない」


「そうそう。もっと楽にツバサがしたいようにして良いんだから」


まさかのレサさんからも援護射撃が飛んで来て困る。レサさんは今日初めてじゃないけど明らかに年上だし、他は子供とはいえ初対面だ。甘えてしまって良いのか分からない。やっぱり人間関係を作るってオレは苦手だ。人付き合いが出来ないって訳ではないけどただ当たり障りなく関わるってくらいで深く付き合っていくってなるとうまく行かない。

けれどここの人達は不快じゃない感じに内側に入れてくれる感じでしんどくはない。それでも戸惑うんだけど。


「でも…」


「たっだいまー!ママあの子は!?…居たっ、ただいまー!」


「あ、おか…うわっ!?ちょっ」


どう答えようか迷っていると早々に迎えから帰ったらしい女の子と小さな子供達がリビングに入って来てオレを見つけたかと思えば女の子にはさっきのように抱き着かれる。ぎゅうっと強く抱き締められ頭に頬擦りをされて慌てる。ちなみに抱き着かれる直前に白雪はテーブルの方に逃げてたりする。


「こーら、コゥチャ!ツバサびっくりしてるからー。トール、ブレンド、カルピスおかえりー」


「ママとブラウニーのいじわるー!」


「ありがと。助かった」


抱き締められた腕から逃れようとしていたらブラウニーさんが引っぺがして解放してくれてほっと息を吐きつつお礼を告げるとまた頷いて去っていった。ブラウニーさんの事が気になって聞こうとレサさんの方を見ればコゥチャさん含めレサさんとココァさん以外の子供達が驚いたような顔でオレを見ていた。


「えっ、何…話し掛けちゃ駄目でした?」


『ブラウニーが見えるの!?すごーい!』


「へ?見、えるけど…。もしかして…見えない?」


誰が誰か知らないし、誰の声かも分からないけど何人かの声で言われて面食らう。だってレサさんは見えるらしいし、家族って言ってたしコゥチャさんも見えてるみたいに言うから見えてないなんて思わなかった。


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「毛玉シープが視えてたなら見守らずに言ってほしかった…」


元々レサさんには妖精視える設定なかったんですがブラウニーの登場により視える人に急遽なってもらいましたw

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