毛玉と親子

レサさんに誘われて服屋さんにも立ち寄った。既にオレが一緒に持ってる買い物袋もパンパンで両手で抱えてても底が抜けないか心配な重量してるけど、同じ大きさの袋を持ってるレサさんはいつも凄く元気だ。これくらいの量はいつも通りらしい。そういえば初めて会った日もオレがハイドさんの部屋で寝てた間に買い物に出て同じぐらいパンパンになった重そうな袋を抱えて帰って来てたかもしれない…。


「あれ…、おーいこんなとこで寝てたら服を取った時に落とされるぞ?」


今は十分貰った服で足りるからオレは買わないけど今後の為と思って店内でレサさんとは別行動にさせてもらい服をみていたら服の上で丸まって眠るオレの手より少し大きな毛玉を見つけた。

少しただの毛玉かもと迷ったけど時々呼吸のせいか動くから生きてると思う。気付かず吹っ飛ばされたら可哀想かとつついて声を掛けると毛玉が身じろいで小さな羊の顔が出て来てオレを見上げて来る。

とは言ってもそんな気がしただけで寝起きに違いないし小さな目だからちゃんと見えてるかは分からないけど。ソイツは見上げて来たかと思ったら小さく答えるように頷くようなしぐさをして助走もなくポーンと跳ねた。


「うわっ、おも…あれ重くない。ならいっか。落ちるなよ?」


ポーンと上に跳ねた毛玉はそのままオレの頭に着地。大きさから重いかと思ったけど重くもなく、見た目そのままふわふわの毛玉が乗ってるくらいの重さしかない。それならいいかと好きにさせることにした。


「けだまシープにゃ。これでもようせいニャよ」


「って事はエアリエル達と同じで普通の人には見えないのか?」


「そにゃ。たぶんもりからひとにのってついてきたんニャ」


毛玉シープは足が短く自分で歩いて移動するのは得意じゃないらしく視えないのを良い事に勝手に人を乗り物代わりにしてくっついて移動する事が多いらしい。まぁ、重くもないし視えないなら乗って移動しても特に害はないだろうと思う。


「あ、ツバサ居た。良いの有った?」


「いえ、今は十分あるんで大丈夫です。レサさんは買う予定だった服売り切れでした?」


「色々買ったから店閉めてから持ってきてくれるって。じゃあ出よっか」


そりゃあの量の荷物持ってる人に店員さんも買った商品も持って帰れとは言いにくかっただろうと思う。一緒について行くかアイテムボックスに荷物は預かれば良かったかもしれない。


「レサさんいつもこの量の買い物一人でしてるんですか?」


「チビ達居るって言ったでしょ?食べ盛りも居るしこんなのすぐなんだから。もうアイツらほんとすっごいんだよ」


「何人居るんですか?」


「孤児院から引き取って今一緒に居るのは5人。あと二人は別の国の学校の寮に入ってるし、もう一人は冒険者になってあちこち飛び回ってるよ。そのわりに3人共しょっちゅう帰って来るんだけどねー」


レサさんの元を離れても帰ろうって思えるって流石レサさんだ。オレは戻ろうなんて思えなかったし。でもどう見てもレサさんは冒険者になる年齢の子供を育てた年には見えなくて驚いた。いや、保護した時には既にそこそこ大きかったって可能性は有るか。それにしたって8人は凄い。


「レサさんって凄いですね」


「何が何が?」


「8人面倒見るって相当やる事も多くて忙しそうだし。子育てと家の手伝いって休む時間なかったんじゃないですか?」


「そんな事ないない。みんなも手伝ってくれるしね!ヘレナとお茶したりするしさ」


「それでも…っうわ!レサさん!大丈夫ですか!?」


それでも凄いと言おうとした瞬間横を大きな影が通り過ぎ噴水の水目がけて飛び込んだ。それにより噴水の水が盛大に跳ねオレとレサさんに。一体何が起こったのかと噴水の方を見ればデカイ魚が水面にを泳いでいた。


「うあー、やられちゃった。すっかり油断してたよ。ここよくうおが飛び込むんだよ。結構濡れたねー、仕方無い。帰ろっか」


「はい。風邪引く前にそうしましょう」


この世界には空飛ぶ魚が居るらしい。そしてその魚が酸欠になり水場に飛び込むことは日常茶飯事なんだとか。

なんとか抱えてた袋も濡れはしたけど中身をばら撒く事なく無事だったけど紙袋だから正直いつまでもつか分からない。さっさとレサさん家に運んだ方が良いだろうと誘われるまま着いていく。レサさんの家は孤児院の向かいの通りに有った。隣にはどでかい建物が建っていて商人ギルドだと教えてくれた。大きさ的に冒険者ギルドよりも更にデカイ。その大きさに驚いていると先に玄関先に荷物を置いてきたらしいレサさんに引っ張られる。


「ツバサうちはこっちだってば。タオル貸すからほら入って入って」


「えっ、タオルなら持ってるんで…」


「良いから良いから!コゥチャ、ココア居るー?どっちかチビ達迎えに行って来てー!」


断っても半ば強引に背中を押して家の方へと連れて行かれ、玄関に入るなり少し中へ歩いて行き誰かを呼んだ。それに答えたのは女の子の元気な声でそれに続くようにパタパタ足音がしたかと思えば赤茶っぽい髪をツインテールにし、薄い水色のワンピースを着た女の子が顔を出した。


「はーい!あたし行く!でもママこれでお手伝いポイント20だからねー?」


「もうそんなに溜まったー?じゃあココ」


「やーだよ!」


お手伝いポイントって、やる事がレサさんらしい気がする。多分何か望みを叶えて貰えたりするんだと思う。取り下げられかけて逃げるように玄関の方に逃げて来る。と思ったら目が合って、彼女の琥珀っぽい色の目が輝いたかと思ったら抱き締められた。


「わあっ!?」


「獣人だぁー!可愛い!ママこの子うちの子になるの!そうなんでしょ!?」


「帰って来たら紹介してあげるから。ほら、早くー。ティアが連れて来ちゃうでしょー」


レサさんにせかされ、名残り惜しそうにもう一度オレを抱きしめるとまた元気に駆け出して行った。オレなんのリアクションも出来なかったんだけど…。女の子ってどこでも元気だ。


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「ちなみに抱き着かれる直前白雪も毛玉シープも巻き込まれないように逃げた。酷くね?」


やっとレサさんの養子のうち一人登場。コウチャでも良かったんですがあえてのコゥチャ。発音しにくい子です(*´艸`*)

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