生き物の進化
「あら?猫の方、何かお困りですか?」
「えっ?あ、あぁ…神官さ、まに会う事は出来ますか?」
入り口の側で立ちつくして居たら偶然出て来たシスターのような服装の女の人に心配そうに声を掛けられて驚いた。教会の人なら取り次いで貰えるかもしれないと言ってみる。すると彼女は快く聞きに行ってくれると言いオレの名前を聞いた後先日と同じ応接室のような所に案内してくれた。
「そういえば白雪はしばらく教会でお世話になってたのか?」
「にゃ?にゃーはツバサのちょっとまえにきょうかいにきたとこだったニャ。それまではカミサマのところでねむってたのにゃ」
「なんだ、お前もこっちにずっと居た訳じゃないんだな」
カミサマとやらの事は今は別に良い。待つ間にケイトおばさんの店で買ったウエストポーチを紙袋から出して中にふわふわのタオルを入れてやる。呼ぶと肩から降りてきた白雪がタオルに乗ってきて良いポジション探しなのかタオルの上でもぞもぞ動く。寝転がったりチャックのとこから顔を出したり忙しい。最終的にはやっぱり外の景色を見る方を選んだのかチャックのとこから顔と前足を出した状態で落ち着いた。
「動かすからちゃんと捕まってろよ?」
一言声を掛けてから持ち上げて金具を止めて腰に装着する。重くも無いしそこまで振動も酷くないだろうと思う。外側にもポケットが有るしコインを入れたらこっちだけ持ち歩けば、と思ったけど鞄はアイテムボックスになってたんだと思い出して諦めた。
「お待たせしました、ツバサさん。こちらにも少し慣れて来たようですね」
丁度鞄を見て考えてる時に応接室のドアから神官さんがやって来て少し驚いた。ばっちり諦めた顔を見られたみたいで小さく笑われる。神官さんは先日と変わりなく相変わらず長いローブみたいな服を着ている。この人鞄とか持つんだろうか。鞄がすごく似合わない気がする。勝手な思い込みか?
「それで、今日はどうしました?何か困った事でもありましたか?」
「困ったっていうかですね、コイツの説明が雑過ぎて困ってます」
ウエストポーチの中で暇だったのかごろごろし始めた白雪の首を掴んで引っ張り出し思わず言った。だって、火がぼーぼーってもうちょっと言い方があると思う。こっちは魔法初心者だって絶対分かってない。あのノリで想像しにくい光や闇、無属性言われて分かる訳がない。それなら絶対分かりやすく言ってくれそうな人を頼った方が良い。遮音の事もあるし。
「何が分かりにくかったですか?」
「魔法と、スキルについてですね。一応昨日少し練習して火は、出せたんで水や風もなんとなく分かるとは思うんですが残りの属性が全然想像付かなくて、コイツの説明でも分からなさそうだったんで神官さんに時間が有れば聞けたらと思って」
多分火や水も初歩くらいしか分かって無いとは思うけど。だってきっと応用とかそういうのも色々あるんだと思う。告げてみると神官さんは馬鹿にする事もなくにっこり笑った。
「私でよろしければお教えしましょう。今日はまだお時間ありますか?それとスキルについてとは?」
「まだ何か始めた訳でもないんでずっと予定はないです。スキルは、騒音耐性か遮音か覚えたいと思ってて、それもちゃんと聞きたかったんです」
獣人の聴力についての不調を告げるととても納得したように頷かれた。それから今日は私も時間があるので、と言って今日も少し教えて貰える事になりまたゆっくり話せるようにと飲み物と今日は少しクッキーとスコーンの間のようなお菓子が用意された。
「まずツバサさんは魔法が何か、という事は分かりますか?」
「便利な物って事くらいしか。どういう原理で使えているのかとかは実はまだ分かってないです」
いつの間にか肉体改造されてて今まで全く縁のなかった魔法とやらが使える体になっているんだろうってくらいしか理解はしてない。だってあっちでは魔法って映画とか本の中でしか出て来なかった。それだってオレはそんなに興味もなかったし学生とバイトの日々で手を出せなかった。この辺り本当に何でそういうのも好きだった
「ではそこからお話ししましょうか。先日は魔法に関するこの世界の話もしませんでたからね」
「全く魔法については知らないんで簡単な説明でお願いします」
白雪みたいなあまりにもシンプル過ぎる説明されると困るけど、難しい言葉で言われても絶対それはそれで苦戦して頭パンクすると思う。
「この3日で元の世界とは違うと言う事はなんとなく察して頂けましたか?」
「少し。夕焼けが物凄く赤くてなんか飲み込まれそうに見えたりとか、オレみたいな獣人とかモンスターみたいなのが居るって事くらいですけど」
「十分ですよ。それも意味は有るんです。元々はこの世界の神は一部の種族と通常の生物だけをお作りになりました。ですがこの世界には魔力と言われる魔法の源ともいえる物質としておきましょうか、そういう物が特に多く満ちていたのです」
説明の途中小さく何か呟いてイメージしやすくする為か小指の爪よりも小さな光の粒をいくつも浮かべる。それがオレの肩や手に乗り、そのまま付着して光る。
「ただの人が例えばこの様な光が沢山満ちる場所に居たとすればほぼ全身光に照らされますよね?魔力を特に多く浴びた人々や動物の中でも素質のあった者が魔力に適応した体に進化したと思って頂くといいかもしれません。獣人も元々は通常の狼や兎などの動物だったんですよ」
元々猿人だった者がより活動しやすいように、生きられるように進化をしていったように魔力に適応し使える体へと変わっていったって事なんだろう。その中で兎の一部はライダーラビットみたいなモンスターに、そしてアレクさんみたいな兎人族に変わっていった。
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「ちょっと普通のウサギからアレクさんまではどうやってもたどりつけないけど」
この話後半とても難産でした。次話もっと苦しみます。あくまで魔法も私解釈です
のでここはそういくのね?と気楽に思って頂ければと思いますヽ( ´¬`)ノ
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