寝る前のコーヒーは運命の分かれ道
「猫の瞬発力ありゃどうとでもなるだろ」
「そういうもんですか」
レイズさんが妙に確信のように言うけど猫の瞬発力ってそりゃ脚は早かった。走って逃げるか猫パンチでもしろと?以外と猫パンチ強いとは聞いたことあるけど、何か違う気もする。
向こうでもほとんど喧嘩らしい喧嘩ってした事がないんだけど本当にこの世界でやっていけるのか不安になった。やっぱりというかチンピラみたいなの結構居るっぽいし。どこの世界にもいかにもな悪い奴っているんだな。聞けばおおかみのお家はハイドさんが居るし今日みたいにレイズさんとアレクさんが時々来てるから比較的そういう奴は少ないらしい。
「あ、ブラックコーヒーおいしい。もしかして此処って豆から挽いてる?」
「あら、詳しいのね。ヘレナがコーヒーの香り好きでね。うちはちゃんと一から淹れてるのよ。
「実も豆も一緒なんじゃ?」
だって、実から取れる種っぽいのがコーヒー豆になるんじゃなかったっけ。詳しい淹れ方は知らないけど豆を炒ったり、挽いたやつをゆっくり淹れるとかってテレビで観た気がする。
「実は実です。割るとコーヒーが採取出来るんですが香りはあまりありませんし味が全然違いますよ」
「あれは不味くてこっち飲んだ奴は飲めたもんじゃねぇ。チビももう無理だな」
コーヒー豆と実は全く別らしい。実はようはココナッツとかヤシの実みたいなもんらしい。豆の方は向こうと同じなのか気になったから今度ヘレナさんに見せてもらおうと思った。それにしてもレイズさんが凄く良い笑顔だ。人の悪い笑みって絶対こういうのを言うんだと思うくらいのからかうような笑い方。
「そんなにですか。でもオレはコーヒーじゃなきゃいけない訳じゃないし。ここのレモネードとかも好きですよ」
そう告げるとつまらなさそうな顔をされた。多分レイズさんは食後とかデザートの時にはブラックコーヒー派なんだろう。
「アンタ別にコーヒーが好きって訳じゃないでしょうに。ケーキが甘く食べれれば良いだけでしょ。コーヒーに謝んなさい」
「旨いコーヒーの後ケーキ食ったら甘いだろ。悪いか」
そうじゃなかった…。確かに美味しいブラックコーヒーの方が後味とかも良いとは思うけどケーキの甘さの為にこの人コーヒー飲んでるんだ。甘さのリセット目的とも少し違う。いや、同じと言えば同じなんだろうけどコーヒーの後のケーキってそれまでより甘く感じるし、その為のコーヒーだ。本当に甘党なんだ。
見た目甘い物より辛い物とかの方が好きそうなのに。人は見かけによらない…。
「ヘレナさん、おはようございます」
「ツバサちゃんおはよう。今日もお出かけ?お弁当要るー?」
昨日はあれから3人はそのまま飲む方向らしく、オレだけ抜けさせてもらった。本当はこっちの酒にも興味あったけど、初日にも言われた通りまたハイドさんに反対されて諦めた。まぁ、どう見ても未成年の仔猫が飲んでるのは良くないんだろう。そういう辺りはこっちも変わらないらしい。
まだ2日泊まっただけだけど朝起きて降りると誰かがおはようって言ってくれる環境ってやっぱりほっとするのかもしれない。寮の時も思ってたけど朝が来たって気がする。
「今日も出掛けます。昨日買い残した物とかあるんで。お弁当は良いです」
「じゃあ朝ごはんね!焼きたてパンあるわよぉ?」
「はい。急ぎでもないんでいただきます」
そう答えると嬉しそうに笑ってちょっと待っててねーと厨房の奥へ引っ込んで行った。昨日食べなかったし心配されていたのかもしれない。
少しして牛乳とパンにベーコンエッグっぽいの。ヨーグルトとフルーツがいくつか乗ったトレイと白雪用の水やほぐした焼き魚っぽい物が乗ったトレイが運ばれて来た。
ちなみに初日から分かってたけどチビのくせに白雪はよく食う。
逆にオレは子供になった事もあって今までより食えなくなったから大体多かった分は白雪が食べてる。
「ここのごはんはまんてんニャ。ツバサももっとたべるにゃー」
「十分食ってるよ。お前こそチビなのに食い過ぎ。デブ猫肩に乗せるの嫌だからな」
短く返事が来るけどまだしっかりヨーグルトにガッツイてるから説得力なんか全くない。それでもまぁ食べきって満足そうにしてるし太って来たら運動させようと思うだけに留めた。ここのご飯がおいしいのは事実だし。出されたパンもふわふわで凄くおいしかった。
「ツバサちゃん、噴水広場にはもう行った?いつも色々お店が出てて楽しいのよー?」
「いえ、多分まだ行ってません。今日寄ってみますね」
「特にコーラルさんのとこのね、クロワッサンサンドはすごーくおいしいの!」
ヘレナさんが満開の笑顔で笑ったから今日のお昼はそれにして買えそうならお土産にいくつか買って来ようと思った。人気過ぎて早々に売り切れないと良いけど。
「そこも探してみますね。ごちそうさまでした。行ってきます」
「はぁい、行ってらっしゃーい」
今日もヘレナさんに見送られて宿を出る。まだ早い時間だからか外は結構買い物っぽい人が居たけど無事ケイトおばさんの店で白雪用の少しゆったりしたウエストポーチも買えた。帰りにまた焼き菓子をもらってしまったけど。押しが強いし、いいからいいから、と強引に渡されお代は絶対受け取ってもらえない。その代わりにポーチの中に入れるように柔らかいタオルと飲み物も何本か買った。
ケイトおばさんとの攻防に若干疲れたけどまだ昼には時間が有るしそのまま教会へと向かった。
レサさんに連れて来られた時はゆっくり見る時間もなかったけど改めて外から眺めてみるとやっぱり教会だけ他に比べて相当でかい。全て外は白で統一されていて所々に装飾のような物がある。
けど信仰の対象が当然だけどあの有名な神じゃないから十字架はないし、もちろん鳥居なんかも無い。 多分プレイヤーに分かりやすく教会ってしてるだけで本来の呼び名は違ったんだと思う。
-------------------------------------------------------------------------------------------
「コーヒーって寝る前に飲むとって聞くけど…」
私常にコーヒー飲んでますが調子が良ければお休み三秒です。個人差ってありますよね。眠気覚ましにはなりませんがカフェイン中毒気味なのか微糖のコーヒーでイライラは収まりますwww
-------------------------------------------------------------------------------------------
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます