腐れ縁と親友は同義語

「あ、そうだ。ハイドさん、この辺りに騒音耐性つけれそうなくらいうるさいとこってある?」


「この辺りで一番うるさいのはギルドだけどあそこじゃ無理ね。あとは竜の住処なら可能性あるけどあそこは危険過ぎるから駄目よ」


「だって今ギルドでもうるさくて動けなくて」


「あら、ギルドに入る事にしたの?それなら確かに騒音耐性か遮音は要るわねぇ」


獣人にはやっぱり騒音耐性か遮音は必須らしい。まぁ、うるさすぎると集中出来ないし当たり前かもしれない。

夕陽に驚き、何か獣の遠吠えを聞いたオレは慌てて木から飛び降り宿に戻って来た。

炎とか魔法が使えると分かっても戦う覚悟なんか急に出来る訳がない。

そして帰った途端今日は休みだったらしいハイドさんに捕まり夕飯に付き合っている。ついでとばかりに聞いてみたけどそう簡単には行かなさそうだ。


「ここも遮音の魔法掛かってるって聞いたけどそれは誰が?」


「そうそう、ヘレナやお客の獣人の人達の為にね。これは教会の神官に頼んだそうよ。ただの遮音じゃなくもっと高度な魔法なんですって」


「じゃあやっぱり神官さんに相談か…。教会って苦手なんだけどな」


元々無宗教だし、ランバートさんはそんな事なかったけど教会ってなんか堅いイメージっていうかそういう感じがするし。でも属性魔法の事とかも聞かなきゃいけないしな。属性開放あるくらいだからまだオレは遮音の方が覚えやすいのかもしれない。


「明日の朝ならアタシ連れてってあげれるわよ?」


「んー、場所は知ってるから良い」


神官さんに相談するの聞かれるのマズイし。今後ここに長居するならここの事何も知らないプレイヤーなんだと言った方が良いのかもしれないけど言わなくてもどうにかなるとは思うしそれで迷惑っていうか気遣われるのも申し訳ないし。まだオレはその覚悟も出来てない。


「教会は誰も良くしてくれるから大丈夫よ。そういえばここの遮音の事聞いたって言ってたけど誰から聞いたの?ツイード?」


「ギルドでレイズさんとアレクさんって人に会って、アレクさんがここは遮音掛かってるって」


「えっ、レイズとアレクって狼人族と兎人族の!?乱暴されなかった!?」


「多分そう。ハイドさん知り合い?ギルドで固まってたら外に連れ出してくれたりとか、地図買ってくれたりしたんだけど」


乱暴されなかったか、って大袈裟じゃないかと思う。まぁレイズさんは言葉キツイ感じだったし荒っぽい感じはあったけど地図くれたりとか優しかったし。悪い人じゃなさそうだったけどな。


「昔冒険者してた時の腐れ縁よ。レイズも悪い奴じゃないけど荒っぽいから…いたたたっ!だから嫌なのよ!裏切りの森荒らして来るんじゃなかったの!?何でもう戻ってるのよっ」


「戻っちゃ悪いか、変態。うるせぇと頭握り潰すぞ」


「変態じゃないわよ!ほらね、言ったでしょ。これに近付いちゃ駄目よ。ツバサ」


ハイドさんの言葉の途中影がさしたと思えば昼に逢ったばかりの2人が居てハイドさんにレイズさんがアイアンクロウを仕掛けた。腐れ縁っていうか普通に仲良さそうで羨ましい。 と思っていたらオレの隣にアレクさんが座ってハイドさんの水をかっぱらった。 っていうかハイドさん見てないのに何で分かったんだろう。これも腐れ縁ならではなんだろうか。


「こ、こんばんわ。」


「どうも。そこの変態、レイズと遊んでいないでミネストローネとヤギのステーキのオーダー通して来なさい」


「何でアンタ達はいつもアタシが非番の時に来るのよもう!行ってきてあげるわよ」


結局怒りつつも動き始める辺り親しいんだと思った。なんて言うか、確かに2人はマイペースというか強引かもしれないけどやっぱり悪い人ではないと思う。


「よう、チビ助。お前武器って持ってんのか?」


「へ?…いえ、持ってないです。遮音か騒音耐性取ってから考えようかと」


「やる」


そう言ってレイズさんがコートから出したのは見た目的に腕輪っぽいけど太さは結構有ってゴツイし真ん中には真っ赤な石みたいなのが埋まっている。武器って話じゃなかったっけ?どう見ても装飾品だ。

やるって言ってたけど高そうだし受け取るのを躊躇ってレイズさんを見上げているとジロリと睨まれて強引に握らされてしまった。


「あ、あの…」


「私達には不要の武器ですから貰っておきなさい。それを付けた状態で手を握りしめると火属性を持つ鍵爪が出現します」


「要らねぇなら捨てろ」


「えっ、爪!?いや、でも売った方が…」


そう告げてももう受け取るつもりはないらしく武器だという腕輪を両手に乗せて戸惑う。付けてみる方が良いのか?というか多分オレにはサイズがでかいと思うんだけど。


レイズさんやアレクさんに視線を送っても意味はなく、ダメ元で恐る恐る手を通してみるとやっぱりぶかぶかですぐ外れてしまいそうだ。やっぱり合わないし、とレイズさんを見た直後手首に掴まれたような感触を感じて視線を落とすと付けてすぐは外れそうになっていた腕輪がピッタリとフィットしていた。

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『これって今度壊れるまで外れないんじゃ…』


早々にレイズとアレク再登場。個人的にハイドとレイズ、アレクの3人トリオ好きなので楽しいです^^

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