富岳とスパコンランキング

 スーパーコンピューター「京」の後継機である「富岳」が、Top500、Graph500、HPCG、HPL-AIという四つのスーパーコンピューターランキングでトップになりました。京も、運用開始前にランキングトップになったことがあります。今回も同じように半年~一年後にはトップ交代しているでしょうね。


 ぶっちゃけて言えば、ランキング自体にはあまり意味はありません。それぞれのランキングで使用されるベンチマークツールにカスタマイズしたアルゴリズムを載せれば、上位に来るわけですから。スーパーコンピューター開発は、ランキングに載ることが目的ではありません。ランキングの順位で、一喜一憂する必要はないのです。順位はすぐに変動しますし。

 そうは言っても、四冠はすごいことですね。複数のベンチマークで好成績を取ったわけですから。これで、省エネランキングのGreen500も取ったらすごいのですが、それは難しいでしょうね。


(ここから追記)

と思ったら、富岳のプロトタイプが2019年にランキング一位になってますね。びっくりだ。

まぁ、Green500はシステムの消費電力が対象なので、施設全体の空調とかは考慮に入っていない点で、本当の意味での省エネとは言えないなと思っています。スーパーコンピューターを見たことがあればご存じと思いますが、発熱量が半端ないため部屋ごと冷房しているのです。空調の音がうるさいくらいです。そのために、液浸(液体にボードを浸す)なんてものも生まれるわけです。

(追記ここまで)


 富岳は京に比べて、100倍のノード数を持っているなど、計算処理能力の向上が測られているのはもちろんですが、京の反省を活かして対応する分野を広げたことも特徴のひとつといえるでしょう。京は、確かにすごい能力を持ったスーパーコンピューターだったのですが、対応する分野が少し偏っていて、まぁ、理研が中心だったので仕方がない面もあるのですが、そのせいで後期には外部の利用が少なくなっていました。「もっと利用して」と呼びかけていたくらいですから。

 富岳では、理研が得意とする生化学や基礎物理学だけでなく、自動車や航空などの産業分野に対応したアプリケーションも用意されています。溶接のシミュレーションなんかもできるようです。今回、四冠をマークしたのは、こうした設計思想が背景にあると思います。



 富岳については、命名される前に書いたつもりだったけど、見直したらなかったのでちょうど良かったかも。

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