ラグランジュ点
物体は、引力を持っています。たとえば、地球と地球の衛星である月の間にも引力が働いています。地球と月が、お互いに引っ張り合っている状態ですね。この引力が釣り合う点を「ラグランジュ
AとB、大小ふたつの天体があり、Aの周りをBが周回しているとします。この時、AとBの間に引力の釣り合う点ができます。これをひとつめのラグランジュ点、L1とします。ラグランジュ点は、L1の他に4ヵ所、計5ヵ所存在します。Bを挟んでL1の反対側にL2、大きな天体Aを挟んでL3、AとBを結ぶ直線を底辺として正三角形の頂点にあたるところにL4,L5が存在します。L4/L5はトロヤ点とも呼ばれる場所で、ジョゼフ=ルイ・ラグランジュはこのトロヤ点を見つけた人です。太陽と地球のトロヤ点、太陽と木星のトロヤ点には小惑星帯があって、これをトロヤ群とよびます。
※本来、Lに続く数字は下付文字で表現されますが、
ラグランジュ点は、「機動戦士ガンダム」で一躍有名になりました。ガンダムに登場する「地球からもっとも遠いスペースコロニー」、ジオン公国があるのは地球ー月系のL2になります。現在打ち上げが計画されている宇宙望遠鏡ジェイムズ・ウェッブは、太陽ー地球系のL2に配置される予定です。
スペースコロニーの元ネタである、ジェラード・オニールの島3号型コロニーが設置される場所として想定していたのはL5です。L1~L3よりも、L4/L5の方が安定しているからです。宇宙開発華やかなりし1970年代には、結構真面目に研究されましたが、建造コストが膨大になることから、スペースコロニーの建設は現実的ではないとされています。
天体の間にあるL1と三角形の頂点にあたるL4/L5に関してはなんとなく安定していることがわかると思いますが、L2/L3に関してはなぜそこで釣り合うのか疑問に思うかも知れません。地球ー月を例に単純化してしまうと、地球を中心に回転する系の遠心力と地球および月の引力が釣り合う地点だからです。
さて、地球と月の関係でラグランジュ点を説明してきましたが、太陽系には地球と月意外にも多くの天体があります。特に太陽の影響は免れません。当然、地球と月だけで考える場合よりも複雑な計算が必要になります。このように、みっつの天体(重力点)を考えることを「三体問題」と言います。さらに別の天体を考慮する場合は、「多体問題」と呼ばれます。
このように考えると、地球ー月のラグランジュ点もけして安定していると言い切ることはできませんが、他よりは安定した領域と言えます。今後の月開発においても、ラグランジュ点は活用されていくでしょう。
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