空港上空渋滞中 ──後方乱気流
フライトレーダー24(https://www.flightradar24.com/)を見ていると、成田空港や羽田空港で着陸待ちをしている飛行機がたくさん飛んでいることがわかります。日本に限らず、空港は結構渋滞しているんですね。
さらに、今後20年間で航空輸送量は二倍になると予測されています。羽田空港では五本目となるE滑走路、成田空港でも三本目となる滑走路の建設を検討しています。でも、それだけで需要をカバーできるかと言えば難しいでしょう。
そこで検討されているのは、飛行機の離発着間隔の最適化です。
離発着間隔は、航空機の最大離陸重量ごとに決められています。最大離陸重量が五十六万キロ程度をSuper Heavy(J)、十三万六千キロ以上五十六万キロ以下をHeavy(H)、七千キロ以上十三万六千キロ以下をMedium(M)七千キロ以下をLifht(L)として、二分~八分の間隔が指定されているのです。
なぜ間隔を空けなければいけないのか? といえば、主な原因は「後方乱気流」です。
後方乱気流とは、航空機が飛行する際機体の後方に発生する乱気流のことで、翼の翼端渦やエンジンのジェットなどが原因で発生します。余談ですが、翼端渦が発生は機体を後ろから引っ張るような形になるため、燃費悪化の原因にもなります。近年の航空機では、翼端にウィングレットという部品を付けることで、翼端渦の発生を抑える工夫がされています。
さて、話を戻しましょう。後方乱気流の大きさは、航空機の重量に比例し、速度に反比例します。つまり、機体が大きく(離着陸時のように)速度が遅いと、それだけ大きな後方乱気流が発生することになります。
後方乱気流は、時間が経過すると拡散したり下降したりして、弱まったり消えたりします。気象条件にも左右されるため、強い風が吹いていれば早く消えます。現在の離着陸間隔は、後方乱気流の影響がほとんどなくなるだろうという予測の、安全性を重視した形で決まっています。つまり、実際に後方乱気流があるのかないのかは、観測していません。たいていの場合、設定された時間よりも早くに後方乱気流は消えていることが多いと考えられます。
そのため、将来の輸送量増加に対応すべく、現在のJ,H,M,Lと言う四区分からより細かい七区分(A~G)にすることが世界的に検討されています。欧米では新しい基準を策定し導入しているそうです(EU:RECAT-EU,USA:RECAT-1.5)。もちろん、日本でも検討が始まっています。
区分の見直しはもちろんですが、実際に後方乱気流があるのかないのかを、ライダーなどで計測しデータを集めています。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます