リモコンのしくみ

 身近な家電の仕組みシリーズ、「リモコン」のしくみを紹介しましょう。


 テレビやエアコンなど、私たちは日常的にリモコンを操作しています。

 リモコンは「リモートコントロールRemote Control」、あるいは「リモートコントローラーRemote controller」の略称です。リモートは、「離れた」「遠隔の」という意味ですから、日本語でいえば「遠隔制御(装置)」となります。つまり、離れた場所から操作する仕組み、操作するための装置ということになります。

 リモコンといえば、今では無線方式が当たり前ですが、有線のリモコンもあります。無線と区別する場合には、「ワイヤードリモコン」と呼ばれます。一定年齢以上の人なら懐かしく感じるでしょう。エアコンもテレビも、昔は有線リモコンだったのです。それ以前はリモコンというもの自体が無かったので、わざわざテレビのそばに行って操作しなければなりませんでしたね。家庭内では、父親が子供に指示してチャンネルをなんて光景も当たり前でした。


 現在の無線ワイヤレスリモコンは、赤外線を利用したものが主流ですが、以前は光を利用したリモコンや超音波を利用したリモコンもありました。「サンヨーのズバコン」なんて、もはや知っている人の方が少ないかな?

 そうした方式のリモコンが消えて赤外線方式が残ったのは、小型化が可能で安価でノイズに強いという優位性があるからです。


 では、赤外線リモコンでは、具体的にどのようなことが行われているのでしょう?


①リモコンのボタンを押す

 ボタンの下にはスイッチがあり、そのスイッチが押されると信号がICチップに送られます。


②ボタンに対応したコードが生成される

 ICチップでは、入力された信号に対応する二進コードが生成されます(符号化エンコード)。二進コードとは、“0”と“1”で構成されたコード(符号)です。たとえば「電源オンなら1111、電源オフなら1000」というように(実際にはこんなに単純ではありません。16ビットとか20ビットとか)。「無線」なのに「コード」とはこれ如何に。こうしたコードの規格(フォーマット)はメーカーあるいは機種によって異なります。


③コードに従って赤外線ポートから信号を発信する

 赤外線ポートなんて難しく聞こえますが、リモコンの先端部分の赤外線を出す部分(LEDなど)です。この発信部の明滅によって信号が送られます。


④受光部が赤外線を受信する

 リモコンの発信部から送信された赤外線は、機器の受光部で受信されます。


⑤コードがICに送られる

 二進コードが受光部からICに送られます。


⑥ICでデコードされコマンドが実行される

 送られてきたコードは、ICで信号へと変換され(復号化デコード)、ICに記録されているコマンドが実行されます。


 まぁ、ざっとこんな感じのことが行われているわけです。


 ただし、赤外線にも送信した光を受信できなければ操作できないという欠点もあり、将来的にWiFi環境が普及し、かつ通信が安定するようになれば、Wi-Fi規格のリモコンが主流になるかも知れません。


【おまけ】

 リモコンのコードはメーカーによって異なることは紹介しましたが、複数のメーカーに対応したリモコンも存在します。そのようなリモコンでは、予め複数メーカーのコードフォーマットが内蔵(プリセット)されていて、ユーザーの設定によって切り替えて使用することができます。

 また、学習リモコン(学習型リモコン)と呼ばれるリモコンには、プリセットされたコード以外のリモコンコードも、対象のリモコンの信号を読み取ることで記憶して利用できるようになっています。

 

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