環境のために航空機を使わない?



 先日、ようやく国連気候変動枠組条約締約国会議(COP25)が閉会しました。毎回、会期を延長してすったもんだする会議ですが、年々政治的アピールの場となっていて、その意義に疑問を感じています。もっときちんとしたデータに基づいた議論をすべきなのに、先進国と発展途上国がお互いの意見をぶつけ合うだけになっていて、日本などはどちらからもやり玉に挙げられるという悲惨な立場に。もうね、はったりでも良いからちゃんと言い返せばいいんですよ。たとえばEUからのクレームだって、自分たちのとこの石炭依存度把握しているの? あん? とかね。ちなみに、日本の二酸化炭素排出量は減少傾向にありますが、今後原子力発電所の再稼働がなければ、火力発電所に頼るしかなく、今後どうなるかは不透明です。


 話がそれました。言いたいことはそんなことじゃなく。二酸化炭素など温室効果ガスと呼ばれるものを排出しているのは、どんなことなのか。それを技術的に解決できるのか。あるいは、そもそも温室効果ガスが温暖化の原因なのか。そんなことを議論すべきなのではないでしょうか。


 それにもうひとつ。なぜか、地球温暖化の話になると航空機がやり玉に挙がることが納得できません。日本の、それも2017年のデータですが、国土交通省に統計が掲載されています。※環境省のデータは、部門別まではあってもその内訳がない(ノД`)


運輸部門における二酸化炭素排出量

https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000007.html


 これによると、CO2の総排出量11億9000万トンに対し、運輸部門のCO2排出量は17.9%。運輸部門中で航空分野は4.9%です。全体から見れば、1%に満たない数値なんですよ。輸送量あたりのCO2排出量も、自家用自動車よりも少ないんです。


 なのに、なのになぜ航空機が目の敵にされなくちゃならないんでしょう?


 これは、イメージ、印象の問題なのでしょう。あんな大きな鉄の塊が飛ぶのだから、たくさんCO2を排出しているに違いないという……たしかに、一機あたりの排出量でいえば、自動車よりも多いでしょう。でも、自動車の数と航空機の数を考えたことはあるのか?と。


 だからね、先入観に囚われずデータで議論しなくちゃいけないんですよ。



 余談ですが、国際民間航空機関ICAOは2020年以降国際線旅客機によるCO2排出量を増加させないカーボンニュートラル成長を義務付けていますし、2050年には2005年比較で50%の削減を目指しています。さらに余談ですが国際海事機関IMOは2050年に排出量ゼロ、ゼロエミッションを目指しています。

 いくらエンジンの性能向上が見込めるとしても、現在と同じ技術でこれらの目標を達成することはできないので、バイオ燃料や航空機の電動化などの研究が行われているわけです。


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