遠方より来(き)たる ――恒星間天体
2019年12月下旬、あるユニークな天体が地球の近く(といっても二億八千四百万キロメートル、1.87AU以上も離れていますが)を通過します。その名は「ボリソフ彗星」──発見された二個目の恒星間天体です。恒星間天体とは、恒星の間を移動する天体のことで、要するに別の恒星系に所属していた天体です。ちなみに、最初の恒星間天体は2017年に発見された「オウムアムア」(ハワイ語で「遠方からの初めての使者」という意味)です。異星人の探査機じゃないかと言う説もありましたが、天然の天体であると結論づけられています。
オウムアムアは発見が遅かったのであまり観測できませんでしたが、ボリソフ彗星は早い段階で見つかったので観測チャンスは多いでしょう。また、彗星の残す尾の成分も調べられるかもしれません。太陽系以外の恒星系に関する情報が、何かつかめるかも。
恒星間をやってくる謎の飛行物体といえば、アーサー・C・クラークの『宇宙のランデブー』およびその続編が思い出されます。ハードカバーで買って、ワクワクしながら読んだものです。続編は……まぁ、アレですが(個人的意見です)。オウムアムアで『宇宙のランデブー』に登場した恒星間宇宙船『ラーマ』を連想した人も多かったと思いますよ。形は違いますが。
なんだか立て続けに恒星間天体が到来しているようにも思えますが、単純に観測技術が進歩したからで、これまでにもたくさん恒星間天体はやってきていたのだと思います。だとすれば、いずれそうした天体を調査する機会がやってくるかもしれません。
話は変わりますが、良い機会なので小惑星、彗星について解説しておきましょう。宇宙に浮かぶ天然の物体をまとめて「天体」と呼びますが、天体はさらに惑星や準惑星、外縁天体、衛星、小天体に分類されます。天体の中で比較的小さく、水や氷、ガス、チリなどでできた天体を
ボリソフ彗星は、その名称からもわかる通り彗星なので、太陽に近づくと温められてガスを放出、いわゆる「
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