電柱、なぜなくせない?

 まさか台風でこんなに被害がでるなんて、誰も想像していなかったのではないでしょうか。今後、台風は巨大化するという予測もありますし、早急に法整備や災害対策などが求められます。

 今回の被害で目を引くのが、電柱の倒壊です。倒木が架線をひっかけて倒れた電柱の復旧は、いろいろやっかいなようです。そもそも電柱でなければ、被害は抑えられたのではないでしょうか?

 国も電線の地中化を推進していますし、東京都など積極的な自治体もありますが、遅々として進んでいません。その理由を電柱地中化のメリット・デメリットを書き出すことで明確にしてみましょう。


●地中化のメリット

 ・台風や火災などの災害に強い

 ・メンテナンスが容易(クレーン不要)

 ・景観を邪魔しない


●地中化のデメリット

 ・コストが高い

 ・地震での被災から復旧が困難

 ・メンテナンスが困難(掘り返す必要がある)


 この他にも、「監視カメラを付ける柱がなくなる」なんて言いがかりに近いものもありますが、総じてデメリットは解決できるんですよね。コストに関しては、確かに地面を掘り返す工事は費用が掛かりますが、年がら年中道路掘り返しているんだから、同時にやっちゃえば費用を抑えることができるのでは? 電気、通信、上下水道の地下ユニットを規格化して大量に作れば、これも費用が抑えられるはず。そうしたコスト削減の努力をしているように見えないところに、不信感を覚えてしまいます。

 地震からの復旧に関しても、東日本震災クラスの地震で道路が壊滅するような事態にならなければ、だめになることはないですし、メンテナンスの容易さをアップさせるためにもメンテナンスハッチ的な設備やロボットによるメンテナンスを導入すれば解決する問題です。今後も、大型台風が日本列島直撃する頻度を考えれば、復旧コストは「電柱>地中化」でしょう。


 それでも、頑なに電柱に固執する層がいるのはなぜなんでしょうね? 何か利権が絡んでいるのでしょうか? たとえば私道に電柱を立てた場合、地主に地代を払っているわけですが、地下に埋設するとなるとその地代も跳ね上がるとか?

 なんだか、一般の国民が見えていない部分で、電柱地中化に反対する一派が蠢いているような気がしてなりません。


 さて、ここまでが前振りです。


 電柱は倒れる、地中化はコストがかかる。なら、無線送電(空中伝送)しましょう。そうすれば、電線もいらず電柱もいらなくなります。


 無線で電気を送る方法には、大ざっぱに3つの方法があり、それぞれ送電可能な距離がことなります。ひとつめが「電磁誘導」を利用するもの。ごくごく短距離での送電を行います。SuicaやPASMOなどの無接触ICカードなどに使われている方式です。電磁誘導については、「身近な電磁誘導」https://kakuyomu.jp/works/1177354054885557884/episodes/1177354054885733744 で紹介しています。

 ふたつめが「磁気共鳴」を利用するもの。伝送距離は数メートル。EVへの充電などへの利用が期待されています。磁気共鳴を利用した技術といえば、医療機器のMRIですね。

 そして、「マイクロ波」を利用したもの。マイクロ波といえば電子レンジですが、理論的には宇宙から地球に送電することも可能で、実際に「宇宙太陽光発電システム(SSPS)」がJAXAで研究されています(http://www.kenkai.jaxa.jp/research/ssps/ssps-ssps.html)。地球上でのマイクロ波送電技術は、実験レベルでは実証ずみです。効率やビームの精度が課題とされています。個人的には、ビームが外れた場合のリスク管理も必要かなと。


 衛星打ち上げるような大規模なものでなくても、電線施設が難しい山間部などは、無線送電が有効なんじゃないかと思います。

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