プリンターの話(7)

 ここまでは、プリンターの分類について書きました。その中でも、ちらちらと出てきたのが「印刷速度」と「印刷コスト」の話です。このふたつは、プリンター購入の際重要になるポイントだと思います。


 印刷速度(スループット)は、紙が給紙されてから排紙されるまでの時間で表されます。A4一枚〇秒、なんて形ですね。パソコン(あるいはスマホ)で、印刷ボタンを押してから紙が出てくるまでの時間、としても良いのですが、その場合、パソコンからプリンターへのデータ転送レート、パソコン内部での処理時間など、さまざまな要因が絡み合っています。たとえば、ページプリンターは印刷速度が速いと言われていますが、電源を入れてから印刷開始~終了までの時間、いわゆるファーストプリントは時間が掛かります。トナーを圧着させるローラーを一定温度以上にしなければならないので。プリンターを購入する際には、こうしたプリント方式による違いも理解しておく必要があります。

 一方、インクジェットプリンターでは、もうひとつ気を付けなければならない点があります。インクの乾燥時間です。最近ではインクの機能も向上したので、一般的な文章を印刷する場合には、問題にはなりません。しかし、イラストや写真を光沢紙に印刷する場合には、インクが乾くまでに多少時間がかかります。カタログには載らないファクターですね。


 さて、印刷コストは用紙一枚を印刷するために必要なインクのコストですね。以前は、各社が勝手に自社の基準で印刷コストをはじき出していましたが、2006年に電子情報技術産業協会(JEITA)が家庭用インクジェットプリンターの印刷コストに関するガイドラインを定めてから、カタログなどにはこれに沿った形で印刷コストが表記されています。


【 家庭用インクジェットプリンターの印刷コスト表示に関するガイドライン第2版】

http://home.jeita.or.jp/page_file/20111208150521_exlXvj50EA.pdf


 プリンターのカタログには、上記ガイドラインに準拠していることが書いてあると思いますし、各社サイトに行けば、より詳細な内容が掲示されているはずです。ただし、あくまでもこれは目安でしかありません。かならずこの値段で印刷できる、というものではないことに注意しましょう。印刷コストは、使用頻度やなどでも微妙に変化しますから。

 ちなみに、純正ではない他社製のインクカートリッジを使う場合、印刷コストは安くなりますが、トラブルの元になる場合もあるので、そこは自己責任ということで。


 印刷コスト、といえば最近登場したのがエプソンのエコタンクシリーズ(キヤノンも同様のインクタンク方式モデルを発売しています)ですが、これは元々海外で少しでも安く印刷しようとした人たちが勝手に改造したことから生まれた製品です。カートリッジ方式に比べて印刷コストはグンと低くなります。その分、本体価格がすこし高めというマイナスも。だいたい、年間で500枚以上印刷する人は導入を検討してもいいでしょう。


 これで、プリンターの話は一区切りです。


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