超音速の夢
超音速旅客機「コンコルド」──夢の航空機とまで呼ばれた音速の壁を超える旅客機は、航空機の歴史に爪痕を残しながらもその姿を消してしまいました。その大きな要因として挙げられるのが、「経済性」と「騒音」です。
パリ-ニューヨーク間をおよそ三時間で結ぶコンコルドも、高額な旅費に少ない客数であったため、経済的に成り立たなくなります。路線を増やせなかったことやオイルショックの影響もあります。路線を増やせなかった原因は、長い滑走路が必要であったことと、燃費が悪かったために太平洋を無給油では飛行できなかったこと、離着陸時および超音速飛行時の騒音が激しかったことです。
特に超音速飛行時に発生する騒音、「ソニックブーム」のために陸地では超音速が出せず、コンコルドの特徴を活かせなかったことが大きいですね。ちなみに、ソニックブームについては、「ストⅡの技じゃないよ(https://kakuyomu.jp/works/1177354054885557884/episodes/1177354054885602093)」でも書きました。
この記事でJAXAのD-SENDプロジェクトにも言及しましたが、その成果がようやく動き出しそうな気配になってきました(回りくどい表現)。文部省が掲げる航空科学技術ロードマップでは、「小型超音速機システム設計技術」 が中期目標として挙げられていましたが、今回、より具体的に航空科学技術委員会で、以下の報告がされたのです。
静粛超音速機統合設計技術に関する技術実証構想の検討状況について
http://www.jaxa.jp/press/2019/07/20190731a_j.html
日本の、というかJAXAの静粛超音速機の設計に関する内容です。上記報告の中で、技術実証機の構想が語られています。そこで、以下の三点が機体要求の要件として挙げられています。
(1)エンジン排気の影響を評価できる推進系を有すること
(2)低ブーム性を評価できる超音速で飛行が可能なこと
(3)低ブーム設計のロバスト性を示すため繰り返し実験が可能なこと
つまり、超音速飛行が可能なエンジンを搭載した実証機を作りましょう、ということです。2026年頃の実現を目指すとしています。まぁ、人を乗せる(有人)タイプの実験機では、いろいろと許可を取る作業が大変ですから、縮尺を小さくした無人機になるでしょうが、エンジンを搭載するとなるとある程度の大きさは必要。となると、飛ばす場所も限られてきますね。万が一を考えると海上実験が安全ですが、いろいろと面倒なので北海道大樹町あたりかなぁ。いずれにせよ楽しみです。
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