ストⅡの技じゃないよ ――ソニックブーム

 NASAが計画している低ソニックブーム実験機の製造をロッキードに委託するというニュースがありました。


 ソニックブームは、航空機が音速を超えて飛行する際に発生する衝撃波です。機体の前後で2回発生するので、ドン、ドンと2回聞こえます。波形はN字型になります。日本では、JAXAと川崎重工にソニックブームを再現するシミュレーターが存在しますが、維持費が結構かかるので無くなる可能性大。

 コンコルドのソニックブームをシミュレーターで体験したことがあるのですが、大きな音というよりも、腹に響くような重低音という印象でした。ソニックブームが人体にどのような影響を与えるのかは研究がそれほど進んでいませんが、騒音には違いなく、陸上ではソニックブームを発生させてはいけないことになっています(軍用機は別)。

 となると、海上でしか超音速で飛行できなくなるため、両音速機の利点が大きく損なわれてしまいます。コンコルドが失敗した理由のひとつでもあります。


 NASAが行おうとしているのは、機体の形状を工夫することによって、ソニックブームを低減させようというものです。実は、JAXAがD-SENDプロジェクトで低ソニックブームコンセプトを実証済みなのですが、NASAは異なるアプローチで、しかも実機で行うという日本からすればうらやましい限りなのです。

 NASAは以前にも、超音速機の機首ノーズ部分だけを低ソニックブーム設計にした機体を飛ばしています。ですから、D-SENDの後追いではなく、日本とアメリカが切磋琢磨しているという理解でいいんじゃないでしょうか。

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