噴火と航空機

 6月22日、千島列島の│雷公計らいこけ島が噴火し、その噴煙は高さ一万一千メートルにまで達しているそうです。こうした噴火が発生した場合、航空機は大きな影響があります。もちろん、噴火している火山のそばを飛行すれば、火山弾や火山礫が直撃する可能性がありますし、噴煙で視界不良となってしまいます。が、実際の影響はそれよりも広範囲に渡ります。ひとたび噴火が発生すると、その風下では目視では確認できないほどの火山灰が空気中に浮遊することになります。この火山灰をエンジンが吸い込むと、タービンなどでエロ―ジョン(腐食)が発生する危険性があります。1982年には、インドネシア上空で火山灰を吸い込んだジェット機のエンジンが四基とも停止するというトラブルが発生しています。その時は、幸いにもエンジン再起動に成功したので、大きな事故にはなりませんでした。

 火山が噴火した場合、航空会社は大きく迂回するか、あるいは飛行を停止します。2008年、2009年にブラジルで火山噴火があった時には飛行制限が行われました。2010年アイスランドのエイヤフィヤトラヨークトルで起きた火山活動では、過密気味のヨーロッパの航空路線が大きな影響を受けました。今回発生した千島列島の火山噴火でも、太平洋を飛行する北米ーアジア路線に影響があるものと思われます。


 エロ―ジョンは火山灰だけでなく、微粒子全般で発生します。砂漠地帯を飛行するジェット旅客機では、日常的に砂によるエロ―ジョン、サンド・エロージョンが発生しています。


 エロ―ジョンがやっかいなのは、地上で再現しようとすると非常にコストが掛かることです。そのため研究が進みません。現在は、CFD(数値流体力学)によるシミュレーションによって研究がすすめられています。

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