ドップラーシフト

 気象レーダーやライダーの話をしたので、その基本となる「ドップラーシフト」(ドップラー効果とも)についても簡単に書いておこうと思います。用語としては、ドップラー効果の方が分かりやすいかも知れませんが、ドップラーシフトの方が、SF的に格好いいのでこちらを使います。


 ドップラーという名称は、オランダ人物理学者のクリスチャン・ドップラーの名前に由来します。彼が、ドップラーシフト現象を数学的に表したからなのですが、現象自体は古くから知られていました。私たちの日常でも、頻繁に感じることができます。


 たとえば、救急車。サイレンを鳴らしながら近づいてきた救急車が、目の前を通り過ぎて走り去る時、サイレンの音が低く聞こえるはずです。これがドップラーシフト。近づいてくる音源からの音は、ギュッと押しつぶされて高くなります。一方、離れて行く時には引き延ばされて周波数が低く、つまり低い音になって聞こえるのです。


 気象レーダーをはじめとするドップラーレーダー、ドップラーライダーも、この現象を利用しています。レーダーから発信した電磁波が対象物に当たって反射するとき、対象が近づいていれば周波数が高く、離れる方向に移動していれば周波数が低くなります。一定間隔で測定することで、気象レーダーでは雨雲の動きを捉えることができるのです。


 光にも、ドップラーシフトは発生します。光源が近づいている時その光は青っぽく見え、離れて行く時には赤っぽく見えます。それぞれ、青方偏移、赤方偏移と呼びます。

 天文学者のエドウィン・ハッブルは、ほとんどすべての天体が赤方偏移をしていることに気が付き、宇宙が膨張していることを突き止めました。ハッブル宇宙望遠鏡の名前は、彼から付けられています。


 余談ですが、赤方偏移といえば、フレッド・セイバーヘーゲンの「赤方偏移の仮面」ですね。バーサーカーといえば、このシリーズですよ。

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