C・F・D! C・F・D!

 タイトル思いつかなかったんで、適当です。

 前回のロケット話で、経験云々と書きましたが、念頭にあったのは、実証試験――つまり、実際に作って飛ばすことです。しかし、近年では、CFDの発達により、実証試験のウェイトも低くなっています。

 CFDとは、Computational Fluid Dynamics、数値流体力学のことで、水や空気といった流れの中で物体がどのような力を受けたり運動をするのかということを、計算によって求める方法のことです。CFD自体は、意外に歴史が古く1970代頃から使われるようになってきました。今日こんにち、コンピューターの演算能力(とコストパフォーマンス)が向上したことにより、多くの分野で広く使われるようになっています。

 代表的な分野としては、航空機の設計でしょう。大学の授業でもCFDが取り入れられていますね。その他では、自動車や高速鉄道などの設計でもCFDは利用されています。そして、ロケットでは大気圏内の飛行をCFDで解析します。また、ロケットの振動によりフェアリング内部にどのような影響があるかといった点についても、CFDを利用した解析が行われます。


 ひとくちにCFDといっても、さまざまな手法があります。一般的には、まずコンピューターで対象となる物体のモデルを作製します。そして、その物体の周りに格子を作ります。物体の周りを小さな空間で埋めると考えても良いでしょう。その格子の中で、流体がどのような動きをするのかを計算するのです。ですから、格子が小さければ小さいほど精密な結果がでますが、計算時間は長くなります。


 CFDでは、実際にはありえないケースを想定したシミュレーションができる点もメリットのひとつですね。たとえば、航空機の場合、流れの方向に対する機体の角度、迎角げいかくが大きくなると揚力が失われるのですが、どの時点で揚力を失い失速するのかということは、実際の航空機ではなかなか実験できません。しかし、CFDでは可能です。

 一方で、精度はモデルや格子の作り方に依存する部分も多く、必ずしも実際と同じになるとは限りません。ですから、実際の設計にあたっては、CFDや風洞実験、実証試験など、幾通りもの試験結果を照らし合わせて検討する必要があるのです。

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