シンギュラリティ

 個人的な感覚では、2005年前後から突如としてシンギュラリティを題材にした海外SF小説が翻訳されはじめたように思います。立て続けに数冊出たので、「流行はやってんのか」と感じたものです。

 シンギュラリティは、和訳すれば「技術的特異点」。ものすごーく簡単に言っちゃうと、コンピューターが人間を越えちゃう瞬間です。コンピューター業界では有名なムーアの法則によれば、演算装置の指数関数的な進歩が続いていくと考えられており、それによってコンピューターが人間の脳を模倣し、人間に近づいていく、そして2045年頃にシンギュラリティを迎えてコンピューターが人間を越えてしまうという……。

 有名なところでいえば、「ターミネーター」に登場するスカイネットでしょうか。「2001年宇宙の旅」のHALもシンギュラリティを迎えていたのかも知れません。


 コンピューターが人間を越えるというアイディア事態には、目新しいものはありません。が、現実にコンピューターの性能が日進月歩で進化している上に、人工知能が一般にも活用されるようになると、シンギュラリティが架空であると言い切れなくなってきたのかもしれません。

 もちろん、シンギュラリティなんて起きないという否定派、批判派もいます。


 人工知能といえば、今、人工知能は第三次ブームとよばれていて、その背景にはニューラルネットワークとディープラーニングの存在があります。ニューラルネットワークは、人間の脳を模したネットワークなので、シンギュラリティとの結び付きを思わずにはいられません。人工知能の第三次ブームもシンギュラリティも、ほぼ同じくらいに注目されるようになったと思えますが、やはり何か関係があるのでしょうか。


 SF的には、美味しいネタですね。しかし、本当にシンギュラリティが来たら、多くのSF作家は小説書きにくくなるだろうなぁと思います。

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