ページを縮める際の思考法”準備編”

「今回の話は、プロ作家さんや編集者必見! 原稿をどうやったら縮めることが出来るのか。その準備編です。ええ。そうした方がいい理由についてもあげて行きますよ? 特に編集者の方は、作家さんへのアドバイスや理屈説明、どうでしょう? そんな話ですね」


「ページを縮める……、って、今回、実は結構、プロ用の考え方ですか?」


「どうかしら? アマチュアでも、製本や出版されることになった場合、拾える処があると思うから、ちょっと見て行くといいんじゃない?」


「何かテキトーな……。とはいえ、まずやることって、何でしょう?」


「そうね。まずするべきは、考えること」


「考えること?」


「そう。まず考えて欲しいの。――何でページを削減するのって?」


「え? ……無駄を省いて、良い形にするためでは?」


「それ全然理屈になってないわ。だったら230ページくらいの原稿だと、担当さんなんかはページ削減しろって言わずにほぼそのまま出版だけど、それは無駄を省いてないことになるわよね?」


「えーと、じゃあ……」


「出版としての理由は一つ。――値段を可能な限り下げるためよ」


「本のページ数が少なくなれば、単価は下がるわ。そうすると、書店も仕入れやすくなるし、読者も手に取りやすくなる。

 作家側で、ここにアプローチ出来る方法が”ページの削減”。

 だからこちらは、読者に手にとって貰うために、単価を下げようとして”ページを削減”するの」


「ええと、じゃあ、その方法は……」


「ええ、これから紹介していくわ。

 まずは、現状の総ページ数を計上すること」


「現状の総ページ数?」


「ええ。つまり製本時のページ数を計上するの」


「出来るんですか!?」


「幾つかの条件は有るけど、基本、出来るわよ? 次のような段階を追って行けば、かなり正確なページ数が出せるわ」



・文章作成アプリで本文データを読み込む

・アプリの表示を、想定する媒体の行数・文字数に合わせる

 :ここで本文データに”ページ”の概念が与えられる

・禁則処理を設定する

・章分けをする

・企画ページを加える

・あとがきを加える

・規定ページを加える

・章始まりのデザイン分、行数、ページ数を加工する。

・挿画を加える

・節間の空き行処理。ページまたぎの処理。左ページ起こしの処理を入れる。



「結構有りますね!」


「慣れれば半日仕事って処ね。焦ったり、侮って”一日でいいだろう”は駄目。プロの場合、担当さんとコンセンサスとるべき処もあるから、気を付けてね」


「じゃあまず、文章作成アプリで本文データを読み込みます」


「メジャーなのはワードか一太郎かしら。アプリとして以下の機能は必須ね。



・1ページあたりの行数、文字数の設定が出来る。

・禁則処理が出来る。

・編集できるページ数の上限が、自分が書いたものよりも大きいこと。



「そんな感じ。

 まずすることは解るわよね? 印刷用のアプリを立ち上げて本文データを読み込んだら、自分が出版する紙面、1ページの行数と文字数を設定するの」


「電撃文庫だと1ページあたり縦42、横17ですね」


「そうそう。そして禁則処理」


「禁則処理って、アレですよね。読みやすいように”ゃ・ゅ・ょ”とか”…”を詰めたり、行の下にぶら下げたりするアレ」


「うん。でもアレ、強めに入れると、全体が詰まって総ページ数が少なくなるの。でも、強めに入れると、印刷側で同様の処理をしないことがあってね……」


「その場合は……」


「ええ。当然、詰まった分が元に戻るから、ページ数が”増える”わ。校了間際とかに発覚して、どうしようもなくてページオーバーになるとか、ホントにあるから」


「じゃあ、どうするんです? 禁則処理は、無し?」


「いや、多くの場合、記号の禁則処理は為されるの。だから”「」”とか”……”の記号はぶら下げ。しかし文字のぶら下げや詰め処理は行わないで」


「文字のぶら下げや詰め? それを、設定しないんですか?」


「うん。そこまでやると、”強め”の処理になるわ。基本、出版側の方で行うことがあるけど、それをやらない場合もあるから。だからこっちは”常に最悪の場合を想定する”つもりで、文字に対しての禁則処理はしないの」


「アー成程……。こっちに都合の良い設定をやっても、それを向こうがするとも限らないですからね……」


「そんな感じで設定すると、画面上の本文データが”本”のフォーマットになるわよね。そんな風に、まずページの形を出版用に合わせたら、次にすることがあるの」


「何です?」


「章分けをする」


「基本、今のラノベは、章が変わったときに改ページされるの。だから章が分かれている処で、改ページしておいて」


「アー、確かにそうですね……。とりあえず分けておく、という感じで?」


「そうそう。そうすると、かなり”本物”っぽくなってきたわよね? じゃあ、次の段階。ここからがプロの作業」


「どういうことを、するんです?」


「規定ページを加えるの」


「規定ページ?」


「ええ。解りやすく言うと、巻末の奥付とかペンギンブックとかのアレのこと」


「えーと、電撃で言うと、


・著作リスト(見開き)

・読者アンケートフォームの案内

・奥付

・電撃文庫創刊の言葉


 ……ということで、合計5ページですね」


「既刊が無い作家の場合、著作リストは無くなるから、そこは削除しておいて。

 一方、電撃での既刊がある作家の場合、見開きの既刊リストページがつくから注意ね」


「ああ、ありますね、アレ……」


「アレ、恐ろしいことに既刊が1冊でも見開きページ取るのよね……。

 ぶっちゃけ、えらいページの迷惑だからやめて欲しいわ……。上下巻だったら《上下》でまとめて欲しいのに別で並べるし……」


「アレさえなければ他もっと出来たのにな、って、ありますよね……」


「まあ愚痴はそんな感じにして、つまり電撃文庫だと規定ページで、確実に3ページ太る訳ね。そしてまた、別の規定といえるページがあるの」


「それは?」


「巻頭の扉ページ。つまり1ページ目。

 中タイトルともいえるページだけど、これ、ほぼ確で一番前に要求されるわ」


「この時点で、こんな形になりますね」



・扉1ページ

・本文

・規定5ページ



「そうね。なお、扉ページは目次として使う場合もあるの。うちなんかは大体その形式ね。フロックとして、口絵に目次を用意して、扉もぶっ飛ばしていきなり本文、というのもあるけど、最終手段だと思ってね。

 ここでは基本形を示していくから」


「他、追加ページありますか?」


「うん。これは出版社にも拠ると思うんだけど、本文と規定ページの間に、”あとがき”が見開きで入るわ。だから現状、全体の構成はこうなるわね」



・扉1ページ

・本文

・あとがき2ページ

・規定5ページ



「本文以外で、最低でも8ページ追加……。結構重いですね……」


「解る? もしも280ページの本だとしたら、1/35は規定ページに食われてるって事になるの。つまり規定ページが無ければ、粗い計算だけど、ほぼ全ての見開きページに本文を1行追加出来るのよね……」


「…………」


「……千ページ越えた本の場合は?」


「……7、8ページに一行追加だと思うけど、そんな割合とは別に腹が立つわね……」


「解りやすい意見を有り難う御座いました。ともあれじゃあ、8ページを追加ですか……。ええと、ここで他、やっておくことって、ありますか?」


「ええ。――担当さんと話し合っておくことね」


「……What?」


「ええ。担当さんにしか解らないことがあるの」


「それは何です?」


「巻頭に企画ページを設けるかどうかと、章始めのデザインと、節分けのデザイン、そして挿画をどうするか」


「あ、確かに……」


「他にもいろいろあるけどね。ちょっと説明するわ」


「えーと、改めて質問ですが、企画ページって、何です?」


「どういうのを想像する?」


「……制服モノとか……」


「…………」


「……制服紹介という意味であって、ジャンルじゃないです」


「解るわ……、そういうボケも必要よね……」


「でまあ、実際は?」


「ええ。巻頭に設ける、例えば人物紹介や、ワールド紹介のページ。そういうのを企画ページと呼ぶのね(電撃仕様)。

 これを作るにはデザイナーが必要になるから、作家側が一方的に決められるものではないわ。担当さんと、そういうものが必要かどうか、という事を話し合って決定ね」


「見開きでワールドマップとか人物紹介あると、盛り上がりますよね」


「そうよね。以前、多量の人物紹介を見開きに収めようとしてどんどん各員のコマが小さくなっていったタイトルがあってねえ……」


「すみません。私もナルゼも参加してたような気がするんですが」


「最近はそこら制限から外れて良い感じだわ。

 ――で、これは当然の様にページを食う訳だけど、入れる場合は基本的に見開きね。ワールド紹介と人物紹介を入れたなら、見開き二枚で、合計4ページ」


「ええと、総合としてはこんな形になります?」



・扉1ページ

・企画4ページ

・本文

・あとがき2ページ

・規定5ページ



「…………」


「あら? 何か疑問ある?」


「はい。本の構成になるんですが、まず扉ページがありますよね?」


「あるわね。そしてそれをめくると、企画ページが見開きで二枚。ハイ、それで?」


「はい。……企画ページの次を開いた時、たとえばうちの本だと、章扉が左ページ側にあります。

 だから企画ページをめくると、左に序章の章扉があって、――今の場合、右が空白ページになります」


「そうね。――章扉のページを設けるようにすると、章は必ず左ページスタートになるから、右ページが空く場合が生じるの」


「さてここで、章始めのデザインをどうするか、という話になるのね」


「あ、成程……。どんな種類があります?」


「章始めのデザインは、大別して二種類あるわ」



「これは章タイトルとして一枚ページを確保するもの。このタイプは、本としてのリッチ感が増すわよね」


「章ごとに絵を用意するのが大変そうですね……」


「口絵の絵を転用したり、設定ラフを加工するとか、いろいろあるわ。どちらにしろ、デザイナーさんが絡むことになるから、編集者が素材を渡して”格好良く”って出来ればいいんだけど、出版社や編集者によっては方針もいろいろあるから、そこらへんは交渉と確認ね」


「フォーマットが決まってる場合もありますからね……。このタイプの場合、気を付けることは?」


「当然、章の数だけページが増えること。そして、基本的に章タイトルは左ページに置かれるから、前の章が左ページで終わっていた場合、次のページ(翌右ページ)を空けて、その次に置くことになるわ」


「ページコスト高いですね……!」


「リッチな作りってのは、そういうことよ」


「えーと、他、章始めのデザインでありそうなのは?」



「こういうのが、よくあるパターンじゃないかしら。」


「あ、そうですね。章の部分に縦オビついたりとか、ありますね」


「この場合、右ページでも左ページでも始められるけど、章の始めに何行か食われることになるの。例として上げてるものは、太字の章題部分だけで2行食われてるわね。

 だからこういうやり方をやろう、ってなった場合、担当さんの方と話合って、概算でいいから何行か章頭を空けておくといいわ」


「成程……、という感じですが、ついでに節分けデザインの話も、ここで御願いします。今の例示で見えてますし」


「節分けデザインって、こういうことね」



「章内で、本文が”節”として分かれるときの処理ですね」


「そうね。これは書き方にも依るんだけど、章内を節分けした場合、その”分けた”という意味で、空白や記号を置くやり方があると思うの。

 さっきの例示だと”●”で空けてるのがそれで、ここだけで2行食ってるのね。

 ちなみに章始めデザインの処にあった”1”ってのも同じだけど、これは3行食ってるわ」


「そういうやり方をやってる場合、やっぱり担当さんと取り決めておいて、節の間は何行か空けると、そういう風にした方がいいわけですね」


「そう。だけど節分けのデザインは、ちょっと難しい問題も持つの」


「たとえば、節分けで”3行空ける”って取り決めにするじゃない?」


「たとえば……、はい。3行空ける。そうしたとします?」


「じゃあ、節の終わりが、そのページの残り2行で生じたら、どうなるかしら?」


「ええと、その場合、翌ページの始まりが1行空く……?」


「残念ハズレ。その場合、前ページの末2行を空けたまま、翌ページの頭3行を空けることになるの。――計5行食われることになるのね」



「こんな感じで、前ページの後ろが空くのよね」


「それ、キツくないですか……!?」


「デザインって、そういうものなのよ。たとえばうちなんかは、”●”を使って節分けしてるじゃない?」


「ええ。してますね、コレ……」


「これ、”●”がページの終わりに置かれると格好悪いから、全て行数や文字数調整して、ページの間や末に”●”が単独で置かれないようにしてるの」


「…………」


「……無駄な努力を……」


「ファッションと同じよ、ファッションと。見栄えに意地を懸けてんのよ。

 だってページ末に”●”だけ表示されてたら、格好悪いでしょう?」


「クソ汚ねえ文章は直さないのに、こういうのは直すのは何なんでしょうね……」


「まあでも、作家によってここら辺、直さない人もいるものね。そこらはポリシーの差として、うちは読者に出す以上、見栄えは気にするわ」


「えーと、じゃあ節分けですが……」


「そうね。場合にも依るけど、基本、節分けに何行使うか決めたら、ページ末において空き行調整。必要ならば翌ページにその空き行を送る。そういうことになるわ。

 この空き行調整となる改行の追加は、こっちがやらなくても出版社側で初稿が出るときに行ってくれるけど、そうなると当然、ページまたぎの部分で改行が発生して、本来想定していたページ数から大ズレすることがあるの。

 だからできる限り、自分の方でそれをやって確認して、ページオーバーしないように気を付けたいわね」


「節分け多いと大変ですよね……」


「ええ。最初の手入れとして、まずページまたぎの部分に改行足して行くとき”やべえ、ページ数増えるぞ……!”ってぞくぞくするわ……」


「あまりよくない傾向ですけど、どうなんですかね……」


「次は、挿画ですね?」


「ええ。挿画は当然、ページを一枚食うわ」


「他、問題がありますか?」


「担当さんのポリシーと、コンセンサスの確認」


「どういうことです?」


「うん。ページを削っていく場合、究極的な部分では”挿画の位置を何処にするか”って話になるの」


「もしも、そういう話し合いにならなかった場合はどうします? つまり、挿画の位置は担当さんが独断で決める、という場合です」


「その担当さんがページ削減を求めてきても、応じなくていいんじゃないかしら。

 だってこっちが削減した処に、勝手に挿画プラスしてページオーバーしても構わないって考え方だから、こっちの作業や存在に尊重も敬意もないし」


「も、もうちょっと譲歩を……!」


「まあ、挿画の位置はこっちで誘導できるから、あんまし気にする事は無いわ。確認しておくことは以下の通りね」



・何枚くらい、挿画があると想定しているか。

・その位置を、こちらで決定して良いか。



「コレ、人によっては”絶対自分が決める”がありますよね……」


「マー面倒なことだけど、確認を取っておくのは大事。そして憶えておかないといけないのは、イラストレーターに絵を発注するのは出版社だから、つまりギャラを払うのは出版社。だから作家側は、基本、希望を言うことが出来ても、決定権は出版社側にあるということね」


「我が儘言わないで、挿画についての主導権は、基本、出版社にある、ということですね」


「そういうこと。だから”作家としての権限だ”とか、そんなの振りかざしたら駄目よ。その上で、担当とはコンセンサス取っておきましょうね、という話」


「じゃあ、ちょっとここまでのものをまとめます。ページを削る準備として、本文に以下のページを追加したり、加工する必要がある訳ですね」


「以下の項目、工程表だと思って、準備や作業しながら、チェックしていってね」



■準備

・文章作成アプリを用意

 :本文データを読み込む

・1ページあたりの表示行数、文字数を設定

・禁則処理を設定

 :記号は禁則するが、文字は禁則しない

・章分けで、章の終わりから次章は改ページする。



■ページの追加

・扉ページ(1ページ)

・企画ページ(1ページ以上)

・あとがき(2ページ以上)

・規定ページ(電撃の場合、3ページ)

 :既刊がある場合、既刊紹介ページも追加(2ページ以上)

・章タイトルページ(章数と等しいページ)

 :章タイトルをページとして設けないなら不要

・挿画(担当と話し合いの上で決定)



「ウワー、ページ数、結構増えますね!」


「まあここからまだ増えるわよ? 加工があるもの」



■加工

・章タイトルページを設けた場合、左ページにそれが来るよう、各章の間を調整。

・章始めをデザインで済ます場合、章頭に設定された行数の空白を用意。

・節の間を、設定された行数空ける。

 :節の間がページをまたいでいた場合、翌ページに設定行数の空きを繰り越す。

・挿画の配置指定の許可を得ているならば、指定箇所に1ページ分の空きを作る。

・他、企画ページやあとがきなど、終わったページの翌ページに空きページが出来るか同化を確認。

・章タイトルページを設けている場合、そのページが左ページになるように調整。



「こんな処かしら。章タイトルページを設けてる場合、最後にその調整をやった方が良いわね。そして忘れやすいのが、例えば企画ページや各章の後に空きページが生まれるときがあるんだけど、それを失念して詰めたままにしてるってケース。土壇場で1ページ詰めることになると地獄見るから、ちゃんと左右ページのどちらで終わっているか、空きがあるかどうかは確認して」


「意外と忘れやすいというか、間違えやすいですよね……」


「気を付けているつもりでも、たとえば急いで画面をスクロールしたり、切り替えていると、ページの切れ目を勘違いするときってあるのよね……。あと、アプリによっては最初のページを0ページって数えるのもあったりして、そういう設定のミスがないようにね」


「アー……、ありますね、そういうの……」


「あと、章始めをデザインで数行分作る場合、デザインの作りや担当さんの方針として”章始めは見開きじゃないと駄目”という場合もあるけど、これはレアケースだと思うわ。一応、デザインで作る場合は確認ね」


「他、細かい注意点、ありますか?」


「やらかしやすいのが”いつも見開き単位で書いている”場合ね。

 見開きを割って1ページ単位で編集するのが面倒、またはアプリが重くなるのでやらない、というのは、なるべく避けてね」


「何でです?」


「左ページへの改ページ作業が多いから。

 見開きでいつもやっていると、中央部分への気遣いが弱くなって、”左ページに改ページ送り”とかの処理忘れが生じて、面倒なことになるの。

 だから見開き処理はやめる。

 ――事故が起きる原因は前もって排除する。これは現場の鉄則よ」


「ミスってやらかすと、それまでの時間が無駄になりますからね……」


「あと、削減用に加工したファイルは、別の名前で保存しておいて。

 タイミングとしては”章分け”したときかしら」


「じゃあ、ええと、必要なページを追加して、加工もしました。……これがつまり、”素”の”最もページがある状態”ですね?」


「そういうことね。ここから削減していくことになるわ。

 でも、一つ、今更だけど気を付けておいて欲しいことがあるの」


「何です?」


「ページを削減するというのは、作家側にかなりの労力とメンタルを要求することになるから、担当側としてもちゃんとスケジュールをもって依頼して欲しいってことね。

 そして、作家側としても、削減はキツイ作業だけど、だからといって後回しにしないで欲しいの」


「それは……、スケジュールの管理のため、ですか?」


「いや? ここまでの要件として、例えばデザインとか挿画とか、あるじゃない? そういうのって、進行状況によってはソッコで決定出来ない場合があるのよ。担当側も、自分だけじゃなくてデザイナーやイラストレイターの都合もあるし。

 だからなるべく、早めにここらへんの設定やコンセンサスをとれるようにして、作業に取りかかる、ということね。

 テンション来たからすぐやろう、って言って、出来ない場合の方が多いと思った方がいいわ」


「アー、成程……」


「そしてまた、一回こういうのを話合って決めておけば、次回はその経験で、トバせる処はトバせるからね。まあ何にせよ、担当さんとの連携は早め早めにやっておく、ということで」


「じゃあ、……後編は、削減の実践編ですね?」


「そうね。どういう方針で削減していくのが、やってみましょう」

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