『終わりのクロニクル』十を超える異世界とのデスゲーム

「今回の話は、終わりのクロニクルで作中の前史となる”異世界間戦争”。十の世界や、そのデスゲームという発案や、それを何故”前史”として戦後交渉をメインとしたのか、と、そんな話ですね」


「……いきなりですけど、どういうことなんです?」


「簡単な話よ。こういうこと」


・現実世界を含み、十を超える異世界群があった。

・でもそれが一斉衝突して全て崩壊する刻限が近づいていた。

・だから各世界はそれぞれの世界に侵攻し、他世界を滅ぼそうとしていた。

・衝突する他世界が無くなれば、衝突自体が発生しないからである。


「アー……、つまり異世界が軌道を描いて運行している空間があって、そこで異世界が衝突するとか、そういう」


「そんな感じね。他の世界を滅ぼせば、衝突は発生しないでしょ? だから戦争していた訳」


「あの、でもですよ? どうやって滅ぼすんです? 国とか星とか宇宙? あるならそういうのを滅ぼしても、その世界自体は消えないですよね?」


「そうね。だからこういう方法を取っていたの」


・他世界が持つ”その世界を支える法則の核”、概念核を奪取する。

・概念核を失った世界は、自分を支えられず崩壊する。


「……芯を抜くような? そんな感じなんです?」


「そうなるのかしら。実際は各世界ごとに法則がいろいろあるから、崩壊の仕方なんかも違うと思うけど。

 ――で、そういう世界が恐らくたくさんあったんだろうけど、私達の居る現実世界がそれに気付いた時、1st~10thの十世界があったのね。

 これらは多重世界の歯車に例えられ、ギア=Gと呼ばれていたわ」


・概念核を奪い合う異世界のデスゲームを”概念戦争”と呼ぶ。


「ま、こういうルールで、戦争していた訳ね」


「ハイ質問です」


「? 何かしら」


「――ええと、つまり1st-Gから10th-Gがあった訳ですね? じゃあ、私達の居る現実世界は、その内、どのGなんです?」


「アー、いい質問ね。でもね? この現実世界、――それがまあ、1st~10thの何処にも所属していないのよ」


「は? ……概念核というものを持った世界があって、戦争をしているんですよね?」


「ええ。でも観測の結果、この現実世界には、概念核が発見されなかったの」


「……? 概念戦争が発生してるのに、概念核の無い世界がある? ……それ、有り得るんです?」


「そうね。それがどういうことか解らなくても、しかし存在してしまっている。そんな感じで、でも特定の概念を持っていないなら戦力としても大したことがない。いずれ衝突の際も、概念核が無ければ自然崩壊するだろう。

 ――そんな感じで、私達の世界は番外扱い。劣った存在として扱われたの」


・この現実世界を、――Low-Gと呼ぶ。


「さあ大変。概念無しの現実世界だけど、この概念戦争に気付いてしまったからには、参戦し、世界が滅びないようにしないといけないわ」


「こ、これは大変ですね……! ちょっと頑張らないと!」


「あ、頑張る必要は無いのよ? だって、もう、概念戦争は終わっているんだから」


「…………」


「……What?」


「何いきなり英国弁になってんの」


「あ、いや、まあ、……というか、終わってるって、どういうことです?」


「いや、ホントに。綺麗サッパリと作中時間の60年前に終わっていて、戦後、移住した連中が日本各地に住んでいたり、また、抵抗勢力として残っていたりするの」


「それって……」


「ええ。つまりは異世界戦争のデスゲームの後。戦後処理としての和平交渉の完遂。

 これが”終わりのクロニクル”のストーリーの根幹。

 そして概念核は主に”竜”の姿をとっていたことから。こう呼ばれるの」


・この交渉を”全竜交渉”と呼ぶ。


「さあ、60年前と、これまでの間、一体、決着はどのようなものだったのか。そして三世代に渡る謎や疑問、全部を解決する物語のスタートよ?」


・――全竜交渉を開始する。

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