【ボーンデジタル特別施策】素敵の距離÷2”朗読・台本版”
電撃文庫のYoutubeチャンネルで堀江由衣さんが朗読される内容です。
”素敵の距離÷2”は短編ですが、ハイライト部分を編集し、単独で一作に
なるようにしてあります。朗読の味を感じる一助として頂ければ幸いです。
↓動画視聴はコチラから↓
https://youtu.be/lvE3dbo5UFI
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朝、彼が向いの木の下で一息を吐いているのを見ると、
300メートルくらい離れた位置に、木があるんです。そこに毎朝彼が上がって来る。
向こうはこっち知りません。こっちも向こうを知りません。
だけど私は彼を見てる。私は朝、それなりに着替えて
そう思う自分を自覚するようにはなりました。
●
あー。
どうなんでしょう。
コレ、アレですかね。
勘違いだといいと思います。
私、そういうの、すっごく
●
参った。参った。参りました。
いや、
飛び越えすぎです、と、心の中で
だけどこれはいけない行為。推しが近くにいるからと言って、答えを求めてはならない。
踏み込んで、というか、そこをすっ飛ばして、どんだけダメージ食らったのか憶えてます。
今は
それとももっとひどくポッキリ行ってしまうのか。
●
朝、勝手な思いを
昔のことをよく思う。
ずっと昔、勝手な思い込みの恋というか、本の真似事をしたとき、どれだけ手痛い目に遭ったのか。
あれと同じ事になったら駄目です。
あれと同じ事になったら、同じ結果になります。
同じ事になったら駄目。
●
でも、この状態は、何の
●
参ってしまった。
●
そして最終日。私が学校に最後に行く日。
私がいつもいる場所に、彼が立っていました。
もう既に始業の
「……え?」
何故。
いえ、解る。解ってる。だって私がここにいるのは何故か。
●
彼が、私が来るのを待っています。
●
でも何故。
解りません。だけど、始業の
「あ」
何をすればいいか。
私がまだしていないこと。
しなければならなかったこと。
それは、
「……!」
声を上げました。
驚くほど大きな声が出ました。馬鹿みたいに、子供みたいに声を遠くへと
●
届いて。
これまで見ていただけだった
●
すると、彼が手を振ってくれました。私の声に気付いて、手を振ってくれている。
ああ。
何てこと。
何てこと!
何てこと……!
私の思い込みで、
だけど通じていました。
300メートル。
その
あちらとこちらで、私達はそれぞれ応援し合って、それは多分、
●
「うん」
急ぎましょう。
多分、彼の方が足が速いので、こっちに先に来ます。
でもそこから手を引いて、行く場所は決まってます。
今、私、
さっきの声に驚いて、通りの人達が窓やドアを開けるのも、
空いていた300メートルを詰めていく。
ああもう、恥ずかしくて死ねます。
死にたくなるほど
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「電撃文庫ボーンデジタル」から初登場!「朗読してみた」特別編!!
電撃文庫のボーンデジタル作品『川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り』は、川上稔が贈る最高にハッピーでグラッとくる珠玉のラブコメ短編集。
小説投稿サイト「カクヨム」にて連載された短編をまとめた短編集で、本作は電子書籍のみでの配信となります。
◯作品名
『川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り(1)』
◯収録短編
「素敵の距離÷2」
◯あらすじ
恋愛成就の「告白の木」が三本もある町。
その一本をお気に入りスポットにしている私と、ある日、対岸の丘にあるもう一本の木の下に現れた黒のジャージ少年。
300メートルの、安全な、卑怯な思い。
▼作品詳細や購入はこちらから!
https://dengekibunko.jp/product/powerword/322007000302.html
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