いつもの連中「正月後の指導者」
●登場人物
■トーリ。俺。一番偉いんだけど一番馬鹿。
■ナイト。墜天。第三特務。ナルゼの相方。配送業もやる魔女。
■点蔵。忍者。第一特務。あまり忍んでない。
他いろいろ。
●今回は年明けの冬休みに、忙しい居室でのことです。
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「おーい、冬休みだってのに教導院来てる暇なのいるかー」
「何かまた役職者なのに休む気全開で嫌がらせにきたのがいるで御座るよ?」
「あれ? 何で点蔵ここにいんの? メアリと正月でイチャついてんじゃないの? 酒とか飲んでちょっと酔って”あっ、点蔵様、少しフラついてしまってます……”とかやってんじゃないの?」
「変に似てる口調真似はやめるで御座るよ――!?」
「つーかホントに似ててちょっとゾっとしたかな?」
「お? お? 好評? じゃあちょっとリクエストしてみ? 真似してやっから」
「じゃあ、ガっちゃんで何か」
「――マルゴット、お昼はどうするの? 青雷亭?」
「…………」
「……………………」
「どうよ!? 今の!? 結構イケたろ!?」
「テンゾー、……テンゾーが以前に”キモい”って言ってたの、何となく解った」
「そうで御座ろう!? 何かそれっぽいのに違和感凄いで御座るよな!?」
「あら、点蔵様、駄目ですよ、そのように陰口をつぶやいては」
「…………」
「本気でキモいで御座るなー……」
「ぶっちゃけボイスチェンジャー術式とか使って、一人で本舗組のエロ朗読とか作って売ったらいいんじゃないかな?」
「金マルも、たまに凄いこと言うよな……」
「やんないの?」
「いや、それぞれに悪いだろう……」
「大丈夫大丈夫! ガっちゃん呼吸するように描いてるから!」
「黒●、そこらへんはどんなメンタルしてるん?」
「あー、一回、勇気出して聞いてみたことがあるで御座るよ?」
「そうしたら何て?」
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「ハア!? 他人のエロ描いて儲けたら駄目!? じゃあ自分の描けっていうの!? いやらしいわねアンタ! サイテ――!」
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「アイツ、何でまっすぐな答えが欲しいところで720度くらい回って煮詰まって来たのを返す訳?」
「720度というか、最後は何か奇数で終わってたり、素数な気がするで御座るよ?」
「アー、そこらへん、人によって回答違うかな。前にイベント会場でアサマチが聞いたときはこんな風に答えてた」
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「何!? 権利者による差し押さえ!? 私は広義の”浅間神社の奉納儀式”が空撃ちになる連中に意味を与えてるのよ!? 解る!? つまり浅間神社の手伝い……!」
「何か行列の人達が膝をつくような回答はやめませんか!?」
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「ナルゼ殿、ある意味、往生際が悪いで御座るな」
「つーか、ソーチョーはそこらへんネタにする度胸はないかな?」
「いや、度胸とかじゃなくて、どうにも出来ねえ感じ?」
「どうにも出来ない?」
「Jud.、――たとえば、浅間のバージョンを作ったとする」
「する。――ハイ、した。それで?」
「データを納品したぞー、って浮かれたら、その夜に浅間が凄くこちらを理解した顔で”あ、差し押さえたデータ聞きました。ここにありますけど、こういうのでいいんですね?”って俺が完全に主導権失って俺が想定してた内容の五倍返しくらいを受ける」
「…………」
「フィクションとノンフィクションが”原作者”によって混ざった?」
「あー……、浅間殿というか、本舗組だと、生産ラインから浅間殿に通報入るで御座るかー……」
「つーか確かに、”いつも、どうして欲しいか言えない男”感が凄くて、甲斐性無しというか、駄目だよねー……」
「ここらへん、ホライゾンがルール決めてるので、俺の選択肢は基本的に”努力と試合放棄”のどちらかです」
「ホライゾンのは出来ないのかな?」
「いや、前にも点蔵達に言ったけど、……MURIだろう」
「…………」
「……………………」
「……アー、想像した。MURI案件、MURI案件」
「……何かまあ、確かにMURIで御座るよね」
「……何かスゲー諦められた感あるのは何?」
「いや、合体の最中に腹に碑石落とすとか、途中から料理教室が始まるとか、感想戦が始まるとか、そういう”全力で使えない”アレだよね?」
「…………」
「……………………」
「……刺激が大事?」
「それ顧客のニーズを全く考えてない気がするで御座るよ!?」
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「豊? 三学期から、御父様達の手伝いで小等部に行きますけど、子供達に対して自己紹介とか、ちゃんと出来ますの?」
「え? ああ、はい。大丈夫ですよ? 子供達相手ですから夢のある話を」
「夢? いいですわね。末世も終わった後での夢というと、どういうものですの?」
「”どうも! 今日から講師でたまにフラっとやってくる浅間・豊です! 目下の夢は夜になると展開する本舗の音声遮断結界が私にだけ貫通しないかな”、ってことですね!」
「それは夢じゃなくて欲望ですのよ――!?」
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「……何かまあ、ビミョーに応えてる範囲の顧客もいる気がするで御座るが、それは特殊としておいて」
「つーか話戻そうぜ!」
「いや、話も何も、ソーチョーいきなりやってきてからこの展開だけど?」
「つーかオメエら何やってんの? 暇?」
「この男は……」
「アー、まあナイちゃん魔女部隊の編成かなー。第三、第四特務部隊だけど、羽柴勢合流の際”魔女狩り”を恐れなくて良くなったから、カミングアウトがケッコー来てて」
「こっちも本土からの転入希望者が多くて、処理がいろいろあるで御座るよ?」
「あれ? そこらへんは浅間とセージュン方面が処理してんじゃないの?」
「いや、流石にそういうの応じていると武蔵上がパンパンになるので、基本、お断りで御座るよ? しかし有能な手合いや、襲名者となると、やはり自分の方で洗ってみねばならぬで御座るから」
「あれ? じゃあセージュン達、暇なの!?」
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「来るなあああああああああああああああああああ! 邪魔だ!!!」
「正純! 正純! いきなり虚空に向かってどうしましたの!?」
「いや、何か馬鹿が来る気配がした」
「何かオカルトみたいなこと言ってますのよ?」
「ええと、人狼がオカルトって言う基準は……」
「み、巫女がオカルトって言う基準も大概ですのよ!?」
「というか正純様、トーリ様が来るかどうかはミトツダイラ様に察知をお任せ下さい。クンクンパワーで確度高い答えが出ます」
「ええ、今のところ、我が王は教導院からここ、青雷亭に来る動きはありませんわ。向こうは風下でも、そのくらいは解りますの」
「終わってるな……」
「そういう評価になりますの!? そうですの!?」
「というか正純、武蔵転入のお断り用の通神文、本文出来ました?」
「いやあ、ソレが何か、いいのを思いつかなくて……」
「Jud.、では正純様、通神文の上側に長さ十五センチくらいの横棒を引いて下さい」
「横棒? まあ、十五センチって、通神文上だとこんな感じで……、ああ、ツキノワが画像ファイル化してくれるか。これでいいのか?」
「Jud.、良い仕事です。正純様。では浅間様、次は浅間様が署名の上で、その横棒の下に文言を書いて下さい」
「あ、ハイ。署名……、と、で? 何て書くんですか?」
「Jud.、以下のように御願いします」
「オイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ! そんなのを各国の面々に返神したら大騒ぎだぞ!」
「あの! あの! 私コレ、マジで署名を先に入れちゃったんですけど!」
「署名入れると何かありますの?」
「神のお墨付きだから消せないんですよ……!」
「じゃあさっきのネタはやめて、”このくらいの長さがないと駄目です”とか書きますかねえ」
「あの、ホライゾン? それ、女性の場合は無理なんで、やめた方が……」
「…………」
「……………………」
「いえ浅間様、コレは、――髪の長さの話です」
「…………」
「……………………」
「――髪! ええ! 髪ですよね!? 髭かなあ! とか! そんな勘違いをしてましたね! あはは! 惜しかったですねえ――!」
「とってつけたような言い訳は別として、男女平等にするにはどうしますの?」
「もはや”ケンベーンの採取サイズがこのくらいダイナミックです”とでも書きますか」
「通りかかった瞬間に危険なネタを聞いたのでツッコミますけど、武蔵、どんだけアングラ艦ですか……!?」
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「そんな感じで、向こうもこっちも大忙しで御座るよ?」
「え!? 何!? 仕事ありまくりじゃん!? じゃあ俺も手伝おうか!」
「あー、大丈夫大丈夫。言葉選んで言うとソーチョー邪魔だから、うん」
「ナイト殿、ケッコー容赦ないで御座るよね……」
「いや、ハッキリ言っておかないとホント邪魔だから」
「ダメ押しまでされたYO!」
「というかトーリ殿? 何しに来たので御座る?」
「ああ、うん、点蔵の邪魔しに」
「テンゾーの!? あ、良かったあ――、こっちじゃなかった。じゃあテンゾー、頑張って」
「何言ってるで御座るか……!?」
「まあ、点蔵様、そんな大きな声を出して」
「ウワア――、キモっ、解る分だけキモっ」
「まあソーチョーはそこらへんにある漫画草紙でも読んでるといいよ?」
「あー、年末の末世のアレの影響かしらねえけど、漫画の多くがちょっと打ち切りとか、大幅設定変更になってねえ?」
「そりゃまあ、”最終決戦”みたいなものへの備えとかあった一方、末世という前提が無くなったで御座るからなあ」
「ナイちゃん達が末世とかの真相を相手に喋らせるまで、創作の世界だと皆が好き勝手にそこらへん想像してたもんねえ」
「トーリ殿の読んでた中では、どんなのが打ち切りになったで御座る?」
「いや、”取っ替え引っ替えヘンリー八世外伝・あの忍者”のコミカライズで、点蔵がモデルの忍者が告白シーンでフラれて終わった」
「抗議――――! 抗議で御座るよ!!」
「おいおいフィクションでフラれたくらいで騒ぐなよ。俺とか牛乳瓶が抜けなくなったりしてたぞ、年末のナルゼのだと」
「何描いてるで御座るかな?」
「証言者からのヒアリングから推測とか言ってたよん? でも何だ。テンゾーのフラれ漫画って、実は打ち切りじゃなくてホントにそうするつもりで描いてた説は?」
「あー、それかー。何か通神帯で一気にアンケート上位記録出したとか、そんな話あったな」
「うーん、メアリ殿の人気があるのは良いことで御座ると、そういうことで御座るかな?」
「まあ! 点蔵様のおかげですよ、そういう外からの評価は」
「…………」
「……………………」
「……おおおおう、本物で御座るよ!」
「????」
「あー、メーやん全く意味は解らないだろうけど、聞いても意味ないからそのままで大丈夫だかんね?」
「うーん、じゃあ三学期の小等部の講師やるときのネタを固めておくかなー」
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「というかお前ら! 今、役職者中心に武蔵も世界もえらく忙しいんだから、私が本を買うためのバイトを邪魔するようなことはやめるんだ! いいな!?」
「今、途中からえらく私事になりましたわよ?」
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