いつもの連中「夏休み前の授業」
●登場人物
■人狼女王、六護式仏蘭西の副長。ミトツダイラのカーチャン。エロ風船。
■最上・義光。最上総長。皆の保護者。大体ツッコミ役。
■ミトツダイラ。武蔵の第五特務。半人狼。
■ナルゼ。堕天。同人漫画家。配送業もやる魔女。今回チョイ役。
■正純。セージュン。小等部の講師バイト。今回チョイ役。
●今回どんな話?
人狼女王の持ち番組で、ゲストが来てからさて何をするか、というところです。
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「画面の前の皆、宜しいですの!? 今夜も始まりました人狼女王のスペリオール・浪漫のコーナー、略してスペロマ、始まりですのー!!」
「…………」
「……一文字違いでスペロマですわね?」
「ハイッ! ハイッ! 先に進みますわよ……!」
「──で? 今日は何をするのかえ?」
「ええ、夏休み直前と言う事で、小等部に行って保険体育の授業ですの」
「…………」
「……………………」
「…………………………………………」
「いきなり出オチ感ありますけど、小等部で何をしでかすつもりですの?」
「まあ、ネイト、母をそんな風に疑って。別に、いきなり合体とか、そういう話はしませんわよ? 小等部の子達は男女とも身体が出来てませんし、知識も何もありませんもの」
「では何をするつもりなのだえ?」
「ええ、何言っても理解がされないという安心感から、ざっくばらんに昨夜のうちの人との十二回戦判定勝負の話を」
「全体的に放送禁止ですのよ……!」
「いえまあ、8ラウンド目で、一回、勢い余って場外に落ちてしまったんですけど、そこから私による献身的なヘルプがハイライトですわね。文字通りのラウンドガールで回転率早かったですわ」
「──まあ簡単に言って却下よのう」
「え!? 駄目ですの!? 何故!?」
「アイコンだと解りませんけど、何で真顔でそう言えますの?」
「だって、人類の存続に必要なことですのよ?」
「人類に必要かもしれんが、貴様ほどは必要ではない気がするぞえ?」
「いえ、不足分を補ってますのよ? ──あァ──! 極東男性の二十代後半以降に、あるべき合体成分が足りないのでこっちで補填──!」
「ビミョーに具体的な例を出すんじゃありませんのよ──!」
「じゃあこうしましょう」
「聞こうかえ」
「全部、隠語で授業をするというので行きましょう。コーナー名は”人狼女王の隠語でチャレンジ!”」
「……何か深夜番組で実際にありそうなタイトルよのう」
「感心してちゃ駄目ですのよ──?」
「しかし、隠語って、何を授業するつもりだえ?」
「算術で、鶴亀算はもうやりましたのよね?」
●資料映像---------------------
「ハイ! ここで鶴に亀を三回入れて次の問題行くわよ! ハア? すぐに答えを出さないのは何故かって? この亀は一回が長いのよ! 鶴もまだ下手だからね! だから次!
──って何? X=YのYをやたら丸く書くのは何故かって? ポチャ系なのよ……。シュっとした半角のYになろうとしても全角のYが限界なのよ……。このあたり、アンタ達も中等部入ったあたりから解ってくるからね? ──おっと、アンタ解ってる顔ね!? もうちょっと子供でいた方がいいわよ!?」
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「ろくなことしとらんな貴様ら」
「あら!? 私も馬鹿の一員ですの!?」
「まあ、ネイトったら、可哀想に……」
「あの、御母様が馬鹿の親玉ですのよ?」
「親玉……! どっちかっていうと、お父さんの方の隠語ですけど、有りとしますわ! ──で、まあ、算術は既にやられてますから、刺激が少ないですわね」
「刺激の少ないの行こうかえ、刺激の少ないの」
「──じゃあ国文で」
「どう考えても刺激が特盛りですわ──!!」
「まあ、でも当たり前すぎて面白くないかもしれませんわよ?」
「では、”いろは歌”をどう読むかえ」
●資料映像---------------------
「ハイ! ”いろはにほへと ちりぬるを”つまり”色は匂えど 散りぬるを”ということで、これはもうアレよ! 可愛いあの子はイケモブに引っ張られてビッチになってしまったと、そういうことよ! 続編もあるわね! でもまだ性別不詳だから、大事なのはここから先ね!」
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「ホントろくなことしとらんな貴様ら」
「あら!? 誰か一人のせいですのよコレ!?」
「ええ、あと、これは違いますわ! ”色は匂えど”とあるとおり、これは可愛いあの人が発情すると匂いがクンクン来るので、思わず散って(隠語)しまうとか、そういう内容であって、つまり解釈違いがありますわね……!」
「──国文は無しでええな」
「あら、何故ですの? ここからが大事ですのよ?」
「それ旦那に話しとくがええぞ」
「あら、解ってますわね。じゃあ今夜のおもてなし(隠語)は、小等部ネタですわね! 私が生徒になるのも犯罪感が増し増しで非常に盛り上がりますわ」
「おい、娘の方、安全なのは何かあるかえ?」
「理科とかどうですの?」
「……小等部一年の授業だと、植物の生育や動物の生態なんかがメインぞえ?」
「種まきに繁殖ですのね……!? しかも屋外プレイ!」
「ちょっと御母様、花壇や動物園で何する気ですの」
「あらネイト、お母さんは確かにお父さんとのあれやこれやについては妥協しないつもりですけど、流石に子供達の前でそんなことはしませんのよ? 気が散りますし」
「──何か最後が無ければ安心しましたのよ? ただまあ、少しは常識あったようで安心しましたわ」
「ええ、まあ安心なさい。──やるなら深夜ですわ」
「駄目ですわよ……!」
「理科も駄目かえ……」
「ちなみに後期からは、温度や度量衡の授業になりますわよね、小等部一年生の場合」
「ああ、物差しとか、ビーカーの目盛りを読むアレかえ」
●資料映像---------------------
「あー、ハイ、じゃあこっち、物差しね。うん、描くときは大体、平均値の二倍とか三倍で描いても問題無いから。ええ。でもあまり長すぎると画面がベタで埋まるから気をつけるのよ?
それとこっちのビーカー、トップの目盛りからちょっと下まで水入れて──。ああ、うん、そこが196ml。これを750回もガッパガッパ飲んだり出したりした馬鹿共がいてねえ。アハハ!」
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「何か事故案件ですのよコレ……!」
「うちの子に負けてられませんわね……!」
「というか貴様ら大体回り込まれておらんかえ?」
「しかし、もう大体アウト案件じゃありませんの?」
「他、何か、安全な教科はあるかえ?」
「図工は間違いなく駄目ですわね」
「まあ! 得意ですのよ!? いろいろ説明するのに大事ですもの!」
「…………」
「……………………」
「…………………………………………」
「母の言っていることが隠語にしか聞こえなくなってるんですけど、私、どうしたら」
「大丈夫ですのよネイト、──その懸念はドンピシャですわ」
「だったらやっぱり駄目ですのよ……!」
「社会の授業はどうかえ?」
「ぶっちゃけ、歴史は大得意ですのよ?」
「ああ、まあ、確かに私達のような位置づけの存在は、長寿や言い伝えによって、いろいろと知っておろうなあ」
「うちとか、恐怖の具現としてですから、人類の最古株の歴史を知ってるクラスではありますわね」
「でも、子供達にそんな古い話が通じますの?」
「とはいえ、有史以後の欧州は、結構血なまぐさい話ばかりですものねえ」
「何か、昔話とか、そういうのがあるであろうよ。授業として使えるネタが」
「んー、だとしたら、こういうの、どうですの?」
「何ですの?」
「私みたいな存在の話で、古代の欧州の信仰関係ですの」
「ギリシャ神話持ち出すのは無しに出来ますの?」
「あれは定番過ぎますわ。もっと土着で自然なもの。たとえば自然そのものを、神とか精霊にせず、そのまま崇めるとか、そういうことですの」
「ああ、太陽十字とかかえ。太陽と、その光が大地に届くのを、図示すると十字架状になるのであったな。ゆえに、旧派が十字架を掲げて布教に入ったとき、未開の地域にも自然に受け入れられやすかった、とか」
「その太陽十字、上部は大体こんな形ですのよね」
「…………」
「ここまでの流れでは、不穏な何かを感じる図形ですわね……」
「ちなみに、太陽の陽光をバッチリ示した太陽十字は、こんなのありますのよ?」
「古代人は後先考えないことしますわねえ」
「危険ですわ──!!」
「まあ! ネイト、これは太陽! 陽光ですのよ! だから深夜アニメでは太陽十字の光で隠したりするんですのよ!?」
「無意味に壮大な戯言はやめんかえ? というか、もうちょっと解りやすい話にしとくとええぞ」
「じゃあ、最近、うちの子達の方でもいろいろやらかしたアーサー王伝説とか」
「グィネヴィア関連でなければ大丈夫かと思いますのよ?」
「あー、じゃあまあ英雄譚、というところかえ。子供は面白がるであろうな」
「ええ、円卓の騎士! ──で、円卓というと、こういう形ですわね」
「私ったら、なんて説明上手」
「いきなり不穏な形をしてますわ……!」
「まあ! ネイト、そう見ようとするからそう見えてしますのです! いけませんわね! じゃあ否定のバッテン印をつけましょう」
「バツの角度が45度間違っておらんかえ?」
「社会も駄目ですわ──!」
●資料映像---------------------
「ああ、惜しい! 地図記号は三年生で学ぶネタなのね! 折角、”灯台”ってどういう記号か描いてみよっかー、ってやろうと思ったのに!」
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「貴様らホントにろくなことしておらんのう……」
「ともあれコーナーのネタですけど、何処まで本気でしますの? コレ」
「あら!? そういうオチですの!? そうなんですの!?」
●後日------------------
「さあ、じゃあ解らないことを知るために、一日入学いたしましたの」
「オイイイイイイイイイイイイ! ミトツダイラ! 何かすごい一年生がいるぞ!」
「せ、生徒の分なら、まだ害は少ないと思いますのよ……!」
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