第3話 書籍化できるかな?



 こぐまが背中にくっついて私の肩に足をかけて「かたぐるま、して……?」と囁いててめっちゃきゃわ。めっちゃ邪魔。ぜってえ肩車なんかしねえからなこぐまちゃんはトミカで遊んでねー(ほっぺぷにー)。


 それはともかく書籍化、やってみたいけど怖くないですか? 怖くない人とは仲良くなれないから出てって(嘘。最後まで読んでついでに本も買って)。


 書き手としての自分の特徴って天才なこととどんな題材を扱ってもなんとなく辛気くさくなることかなって思ってるんだけど(言っとくけどこれは長所ですよ)、それ以上に重大かつ割と致命的では? という特徴が一つある。

 私が書籍化するのは「日当たりのいい家」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054882293794)っていう話で十二万字ぐらい、毎日更新してる人なら一か月で書けるんじゃ? って長さなんだけど、私がこれを「小説家になろう」で連載を始めたの、2014年の4月である。

 は? じゃないですか? ついでに完結したの2017年1月だから。

 すっごい遅筆。ウェブ小説書きとしてあるまじき遅筆なのだ。私より遅い人見たことねーしなまじで。

 ついでに連載中に出産したり里帰りしたりして中断した時期もあったけど基本的に毎日書いてるから。Twitterでよく「今日も三行ぐらい書いた」って言ってるけど本当に三行ぐらいしか書かない。「。」三個打ったら「今日はおしまい!」ってしてる。「よくそんなので書けるね」って言われるけど別に私だって望んでこんなことしてるわけじゃなく一日に五千文字書けるなら書きたいんである。一日三行しか書けない。三行書くともう疲れる。小説書くの苦手なのだ(天才とは?)。


 書籍化した知り合いの人たちの話を聞くと書籍化作業、やばそうなんである。大筋以外全部書き直しぐらいの勢いで打診から三か月で発売とかそんな話ばっかりだし「書籍化」で検索するともっと怖い話が色々出てくる。改稿で編集ともめたとか改稿したのに結局本が出なかったとか。怖い。

 そもそもめちゃまともな相手(だったわけだが結果的に)とまとも極まりない改稿を要求されたところで明らかまともの範疇じゃない遅筆の私にできるんだろうか。一日三行ずつ改稿して三年後に発売とかさすがに無理だろそんだけ時間あったらビルだって建つ(建つかな? 適当に言ったからわかんない)。


 というかそれ以前に改稿とかしたくないんだけど現時点で完璧だから……天才の書いた作品だから……。というか十二万字最初から読み返して改稿するの普通に嫌。面倒臭いし自分の至らないところと向き合うの嫌なんだけど……アゴタ・クリストフって全然推敲とかしなかったらしい(完全にうろ覚え)し私も顰に倣いたい。何一つ改稿せずに出版したい。むしろ出版せずに印税もらいたい。天才なので国に保護されたい。

 でもそんなこと編集さんに言えるわけもないので「いやー初めてなんで改稿不安っすね!」みたいなメールしかできないわけである天才は気が弱いので。


 それでほかの人はどうかわからないけど私の場合は最初のほうで編集さんからめっちゃざくっとした改稿案? プロット? が届きました。不安って言ったからかもしれない。親切。それ見て「……(ここに入る台詞は各々穴埋めして)」ってなりながらめっちゃ嫌々自分の小説を一回最初から読み返してみた。自分の小説めっちゃ面白いからときどき読み返すんだけど最初から最後まで読む機会はあんまりないから正直吐きそうになった。当たり前だけどプロットも作らずに一日三行ずつ書いてるもんだから時系列とか整合性とかめちゃくちゃである。この小説の春なげーな。店で注文した餃子どこいったん。(自分のミスと向き合うと吐きそうになるからこれ書きながら吐きそうである)

 読み返したら編集さんの改稿案、めっちゃわかる。めっちゃ理解できる。改稿案の全部を受け入れるわけではないけど元の小説の何をどう直してほしいのかは超理解できた。は? ねじちゃんめっちゃものわかりいいやん天才か? 天才だよ。


 いやでも遅筆なのは変わらんやん? わかったところで改稿できるの? というところで次回に続く。

 あとさっきまでこぐまがもうすぐ幼稚園に入るから夫と二人で制服とか用具とかにお名前つけしてたんだけどこれ地獄じゃない? 傲慢な天才とその配偶者が行く地獄だったのかもしれんまじでつらい二度とやりたくない……。

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