だが断る!

 爬虫類のような鱗に覆われた身体。よく見れば亀とは少し違う感じの甲羅。頭頂部を守るためらしい皿。以上、彼方かなたの見た目である。

 まぁ、所謂かっぱに似ているわけだ。

 それで、黄桜を飲んでいて、ふと気になり出した。

 彼方かなたにしっぽはあるのか……?

 なんとなくカッパの絵には短いしっぽがあったような気がする。どうだっただろう。

 彼方かなたは黒い革っぽいパンツを履いているから、当然尻は見えない。短いしっぽなら、あのパンツの中に余裕で隠れてそうだが。

 でも。まさか尻を見せろとは言えない……。というか、言いたくない。しっぽは見たいけど、こいつのケツを見たいわけじゃない。

 特番のお笑いを見ながらけたけた笑っている彼方かなたを見やる。……まぁ、順当に聞いてみるか。

「なぁなぁ。お前って、やっぱしっぽとかあんの?」

 笑い顔のまま振り返った彼方かなたは、はぁ?と声を上げた。

「そんなもん、当たり前だろ。無くてたまるか」

 当然だったらしい。そうか、やっぱりしっぽがあるのか。……ちょっと気になる。けど、やっぱ見せては、無い。

「てか、えっ。……もしやお前、しっぽ、無いのか……?」

 今度は彼方かなたが恐る恐る聞いてきた。

「うん。無いけど?」

 驚愕の表情で彼方かなたが叫んだ。

「まじかーっ!? え、ちょっとお前、尻見せてみろ!」

 そうきたか。


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