愛車は日産キューブ
なんだか
別段構わないのだけど、万が一にも事故れない。次は頭蓋骨が割れてしまう。
「いい家族だったなァ」
「それに、仲もすっげー良さそうだったじゃねーか」
「んー、そうかもね」
余所がどうかはよく知らないが、まぁ仲の良い方だろうとは思う。特に嫁と姑、プラス小姑の仲がいい。となれば、男性陣はひたすら恭順しているのが賢い生き方だ。
「だったら、なんでお前は一人で暮らしてるんだ?」
「え?」
「別に遠く離れて住んでるでもなし。家がせまいでもなし。なんで一緒に暮らさないんだ?」
なんでと聞かれても。
そんなようなことを説明してみても、
「だからってお前、なにも一人で暮らすこたァないだろ」
「そうか? 一人暮らししてるやつなんて珍しくないけど。そっちは違うのか?」
「そうだな。普通は血縁とか一族で暮らしてるな。一人暮らしのやつもいないじゃないが、まぁ大抵ワケありだ」
ということは、俺は
「でも。そういうお前だって一人で家を飛び出したんだろ?」
「う、まぁなぁ」
「魔王を倒す旅に出るためだが。ま、正直なところ、俺はあんまり共同生活には向いてなかったな」
聞くからに風来坊気質のようだし、さもありなん。
「でも、お前も別に仲が悪かったから出たってわけじゃ、ないんだろ?」
「だな。よく仕事をさぼって怒られはしたが。基本みんな気のいい奴らだからなァ」
「俺は別に勇者じゃぁないけど、おんなじだよ」
いくら仲が良くたって一緒に住むとなれば気詰まりなこともあるものだ。
「ふうん、なるほどな。お前も俺と同類って事だな」
え。同類にされるのは。ちょっとなぁ。
でもまぁ、紙一重といえなくもないかという感じで料簡しておこう。
「……みんな元気にしてっかなァ」
故郷を思い出したのだろう。
確か故郷には
その
「そういやぁ。俺も兄貴がいるんだが」
兄貴だった。
「へー。……兄貴って、お前似てる?」
「んー、いや、あんま似てないな。俺のほーがシュッとイケメンだ」
そうか、
「そー。それにうちの兄貴はまぁ凡庸な男だ。その分堅実な性格だかんなー。ん、あいつがいれば一族は安泰だろーが」
勇者と比べられちゃ、大抵のやつは凡庸だろう。お兄さん、気苦労多そう。
「ふうん。二人兄弟?」
「あー。いんや。うちは八人だ」
八人……多い。多産なんだろうか。
突然、
「えっ、ちょっ。どした?」
伸びきったまま、カタカタと小刻みに震えている。
「おい、大丈夫かッ!?」
あいにく走行中で手が出せない。しかし呼びかけても
赤信号で停まったタイミングでむりっくりに腕を伸ばし、
「……? ――!」
うっかり
乾燥するのは苦手だと聞いてはいたけど。こんなになっちゃって大丈夫だろうか。万が一の時、病院とかどうすればいいんだろう。……獣医か?
ハラハラしながら家路を急いだ。
家へ戻って、取るものも取り敢えず
……つくづく不可思議な生き物だなぁ。
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