やめられない 、とまらない!
はっきり言って冷凍のお好み焼きは、旨い。
もちろん鉄板で焼いて食べるお好み焼きとは違うのだが、ソースとマヨネーズをぐちゃぐちゃにのっけて食べるのが好きだ。
でも一つ問題がある。解凍にかかる時間が結構長いのだ。立て続けに二枚チンして、三枚目となるともう面倒くさい。
まだ酒は飲み足りないし、そうなるとやっぱりつまむものがないと口が寂しい。なにかないかと乾き物をストックした袋、通称つまみ袋をごそごそ漁る。
下から出てきたのは赤いパッケージでおなじみ、カルビーのかっぱえびせん。「やめられない、とまらない」あれだ。好きでたいてい買い置きしているのだが。
「…………」
ふと思う。なんでかっぱえびせんなんだろうか。エビともせんべいとも関係ないだろう。……実はかっぱの好物、とか?
いやでも、さすがに
これでいいやとかっぱえびせんを開け、空いていた皿の上に出した。
「! おおおおおおおっ」
突然
「それ、かっぱえびせんじゃねーか!」
「…………え?」
「こっちのかっぱえびせんも旨いな。うちのかっぱえびせんと甲乙つけがたいな、こりゃ」
「そっちの世界でもかっぱえびせんって買える、のか?」
まさかカルビー、売ってる?
「は? 買う? そんなわけないだろ。これはあれだ、お袋の味だ。子供の頃、よく作ってくれて食べた」
かっぱえびせんが手作りおやつ……そんな馬鹿な、と思う。どうして異世界にかっぱえびせんがあるんだ。まさかカルビーの人が異世界転移して? いやそれとも、異世界から来た人がカルビーに就職したとか。
混乱しているうちに目の前では
日本酒を一口。そしてかっぱえびせんを一本。日本酒のほのかな甘みとかっぱえびせんのしょっぱさ。永久ループものだ。それぞれの盃に酒を追加しながら
「ってことは、お前もかっぱえびせん作れるのか?」
もしや焼きたてかっぱえびせん食べ放題も夢ではないかもしれない。しかし
「そんなもん、無理に決まってるだろ。俺はお袋じゃないからな」
そこはレシピ受け継ぐとかしとけよ。でも、そうか。こいつ。
「……もとの世界に家族残してきてるんだよな。お前のこと、心配してるんじゃないか?」
「そうかもな。でもたぶん大丈夫だ。もともと俺は魔王を倒す旅に出るために、一族を飛び出したからな。今さらそんな無頼もんの心配するような親じゃねぇな」
そう言うかっぱは、しかしどこか寂しげで、なのにかっぱえびせんを食べる手を止めることはなかった。仕方なくもう1袋開ける。
「……結婚とか、子供とかは? いたのか?」
「いや。気楽な独り身だ。……もっとも恋仲な相手ぐらいはいたが」
「そっか」
恋人を残して異世界に来て帰れなくなっているというのは、さぞ不安なことだろう。
「どんな
「そうだなぁ。だれの話をすっかな」
……………………………………………………………ん?
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