「これはまぼろしの美脚なのですか?」
「ぴやっ。美月姫! おみ脚を揃えてまっすぐ立ってみてくださいっ」
「え? な、なに? ど、どうしたの?」
「ここですよ。ここ(((o≧▽≦)o」
思わず直立の姿勢をとったわたしに、桃李さんが駆け寄ってきて、ペタンと目の前に座り込み、太ももを凝視する。まだ、スカートを履いていないのに。
「こっ、これは。。。
世界中のすべての美しくなりたい女性の憧れの的。
桃李大感激です!!
こんなふつくしいサイギャップにお目にかかれるなんて(☆Д☆)」
「サイギャップ?」
「太ももとひざの間にできる、この小さな三角形の隙間のことですぅ。桃李みたいな平均的日本人のO脚では手に入らない、幻の美脚なんですよぉ~Y(>_<、)Y」
「そ、そうなの?」
「はい(*^▽^*) さすが美月姫。ここまでのパーフェクトビューティフルボディをお持ちとは☆」
「脚の隙間なんて、細ければだれでもできると思うけど」
「いえいえ。細ければ美しいというわけではありません。もものいちばん太い部分とひざ、ふくらはぎとくるぶしの4ポインツがくっついてこそ、真の美脚の称号を受けることができるのです(^ω^)v」
今にも撫で回しそうな勢いで、
恥ずかしさのあまり腰が引けそうになったが、ソリンさんと恋子さんも寄ってきて、わたしの前に座り込んだ。
「へぇ~。この隙間、『サイギャップ』って名前があるのか~」
「確かに、細いだけじゃニワトリの脚みたいで、色気ないよね」
「美月さんって背も高いし、ほんっと、長くて綺麗な脚してるよね~。羨まし~」
交互に感想を言っていたふたりは、示し合わせたように立ち上がって、両足を揃えた。
「ん~。ひざが、、、 くっつかない、、、」
「むむむ… 意外と難しいのね どう? 桃李ちゃん。あたし、サイギャップできてる?」
「すみません、ソリンさん; 美月姫のパーフェクト美脚を見たあとで、他の脚の論評をさせないでください~。なにも言えないじゃないですかぁ。ごめんなさい。ごめんなさい・°・(ノД`)・°・。ゥエエェェン」
恋子さんはひざをつけようとムキになってリキんでいるし、ソリンさんはスカート捲りあげ、ショーツを丸出しにして訊くけど、桃李さんはソリンさんにペコペコと謝まっている。
「くすくすくす…」
そのとき、抑えたような笑い声が聞こえてきた。
見ると、着替えを終えて椅子に座っていた栞里さんが、わたしたちのやっていることを可笑しそうに眺めている。
それを見て、恋子さんが手招きした。
「栞里ちゃんもこっちきてやろうよ。美脚コンテスト」
「えっ。あたしはいい… です」
「なに、そんな隅っこで縮こまってるのよ。『高瀬みく』は『リア恋plus』のいわばメインヒロイン。遠慮なんかしなくていいのよ」
「ん~。なんか違う気がします。恋子さん~( ノ´θ`)ノ」
「はは…」
桃李さんと恋子さんのかけあいに、栞里さんは失笑する。
「まあ、これがあたしたちの素なのよ。栞里ちゃんも、年上だからって遠慮しなくていいからね。今日は同じコスプレ仲間として、目いっぱい楽しみましょ♪」
「あたし… 今までひとりでいることが多かったから、人とつるむのってあまり慣れてなくて。失礼があったらごめんなさい」
ソリンさんの言葉に、少し寂しそうに微笑みながら、栞里ちゃんは応えた。
なんだろう。
この
「それ、わかります。
実はわたしも友達っていなくて。学校の休み時間はいつもひとりで過ごしていますから、こういう
思わず相槌を打ってしまった。この子、なんだかわたしに似たところがある。
「それはですね、美月姫はあまりにふつくしすぎて、気高すぎて、恐れ多いからでして。
そもそも、お互いのレベルが同じくらいでないと、お友達関係は成り立たないから、美月姫にお友達がなかなかできないのも、当たり前ではないでしょうか(((^_^;)」
「桃李さんは、わたしの友達ではないのですか?」
わたしの言葉に、桃李さんは『とんでもない』という風に、首を振った。
「そんな、、、桃李ごときが美月姫のお友達だなんて、おこがましすぎますっ(((o≧▽≦)o
いえいえ。決してお友達でいたくないというわけでなく、美月姫と桃李では月とスッポン。ヴィーナスとヒョットコ。まったく足元にも及ばないわけでして、いわば桃李は、水槽のなかで優雅に泳ぐ美月人魚姫にぶらさがってる、ウンチみたいなもので、、、
あぎゃ〜〜!!
それではまるで美月姫がウンチをしたような言い回し(☆Д☆) すみません、すみません!!!
とにかく、こんな桃李をお友達カウントしてくださる美月姫には、ほんとうにありがたくて、涙が出そうになるくらいでして、、ありがとうございますぅ〜・°・(ノД`)・°・。ゥエエェェン」
「まあまあ、桃李さん、落ち着いて」
自分でも、なにを言っているかわからなくなっている桃李さんをなだめながら、ソリンさんが急にまじめな顔になって、語りはじめた。
つづく
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