「美少女のなかにいると心がはだかになれます」
「確かに… 栞里ちゃんも美月さんも、滅多にお目にかかれないレベルの超絶美少女だものね。
美少女ってのは、ふつうの女子からしたら目障りな存在で、なんとなく近寄り難いし、扱いにくいし、いじめられやすい傾向にはあると思うわよ。
小学校時代は可愛い女子を男子がいじめて… ってか、その子のことが好きだからいじめるんだけどね。
中学生になると同性から、『可愛いから』って
大人になったらなったで、『男にちやほやされてる』って、
これはもう、美人税みたいなものかもね」
「ソリンさんもなかなかの美人さんじゃない。やっぱりいじめられた?」
恋子さんの問いに、ソリンさんは笑って答える。
「ははは。まぁね。
でも、桃李ちゃんじゃないけど、わたしは自分よりレベルの高い
美人さんって、小さい頃から褒められて慣れてるから、心に余裕があって、おっとり優しい人が多いのよね。もちろん、容姿を鼻にかけて、ワガママで高慢になってるヤツもいるけど」
うなづきながら、今度は恋子さんが語りはじめた。
「あたしもね。中学時代とか、陰湿に絡んでくるヤツいたけど、徹底的にシカトしてたわ。陰口叩かれたり変な噂流されたりしても、『絶対負けるか』って気持ちで、学校行ってた。
まあ、いじめてくるのはたいてい、男に振り向かれることもなさそうな、性格悪いデブスばっかりだったけどね。『おまえみたいなブサイクは、そんなことでしかストレス発散できないんだろ』って、言ってやったことあったわ」
「恋子ちゃんは気が強いし、いじめをはね返す力があったんだろうけど、ふつうはやっぱり、ヘコむわよね」
「もちろんあたしだって、すっごいイヤだったよ。掲示板とかでも定期的にボロクソ叩かれてたし。そんなわけで学生時代はかなり、ヨロイかぶってたな~」
「掲示板はキツイよね~。相手が誰かわかんないし、闇討ちと同じでいちばん卑怯なやり口だわ」
「掲示板って?」
「いけません、美月姫!」
恋子さんとソリンさんの会話に入ったわたしに、珍しく桃李さんが強烈に反応した。
「そこは、美しく可憐で純粋な美月姫が踏み込んではいけない、ネット世界のディストピアなのですっ(*´д`*)ノ))ブンブン
興味を持ってもダメだし、美月姫は絶対に見ないでください!!」
「え… ええ」
勢いに押されたわたしは、そう言ってうなづいた。
もちろん、ネットの知識があまりないわたしでも、匿名掲示板のことくらいは知っている。でも、桃李さんがここまで拒否反応を示すくらいだから、触れないままの方がいいのだろう。
「ははは。なんだか、いじめの暴露大会みたいになっちゃったね。
それにしても、今日みたいに美少女の群れのなかにいると、安心して心がはだかになれるよね~」
感慨深げにソリンさんが言うと、恋子さんも同調した。
「それ、言えてる。美少女同士でつるんでると、目立たなくてすむからね」
「その代わり、その美少女の群れは目立ちまくるけどね」
「すみません~; 桃李ひとりで美少女軍団のレベルを下げまくってしまってて、、、orz
桃李も学生の頃、いじめられまくってました。みなさんとは反対の意味で。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。」
「大丈夫だって、桃李ちゃん」
そう言って桃李さんの肩をポンと叩き、恋子さんが言う。気の強い彼女からは想像もできないくらい、優しげな声だった。
「桃李ちゃんは、うちのパーティの
恋子さん。
それ、あまり慰めになっていない気もする…
だけど桃李さんは、嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。
「ヒーラーだなんて、、、 ありがとうございますっ。そのお言葉でブサイクなわたしも救われます°˖✧◝(・∀・)◜✧˖
これからもみなさんのHP回復に、精一杯勤めていきますので、いつまでもおそばに仕えさせてくださいぃ~(。・ω・。)ィェィ♪」
そうよね…
今まではこういう話をしたことはなかったけど、みんなそれぞれ、人間関係でも悩みを抱えていたんだ。
それを乗り超えて、重い過去も笑い話にできるようになって。
やっぱりみんな、わたしよりもおとなだ。
「あの… ありがとうございます」
栞里さんがポツリと言った。
「あたしも、友達関係とかで悩んでて、親友に裏切られて、人間不信みたいになってたんですけど、みなさんの話を聞いてるうちに、なんか、抜け出せるかもしれないな~って、思えて」
そこまで言うと栞里さんは、自分の台詞が恥ずかしいとでもいうように、頬を染めてうつむいた。
「そうだよ。人から足引っ張られて、自分のやりたいことできないなんて、損じゃん。
せっかく美少女に生まれたんだから、人生楽しまなくっちゃ。
日頃の
栞里さんの肩に腕を回して、恋子さんが言う。
まだぎこちないけど、栞里さんも可愛い笑顔を浮かべる。
そうよね。
つまらないことは考えていないで、恋子さんの言うように、今は目いっぱい、この時間を楽しもう!
つづく
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