34:シンエン#覗き込むものは見返される
俺ことP.N.『
さて、フリードリヒ・ニーチェという哲学者をご存知だろうか。
クトゥルフ神話でよく引用されるあの名文、『善悪の彼岸』の著者である。
『深淵を覗き込むとき、深淵もまたこちら側を覗き込んでいるのだ』
つまるところ相手を見た時、また相手も此方を見ていることを自覚せよとのこと。まぁ深い解釈になってくると正義だの、善悪だの、鑑合わせの自分自身などいろいろ考察できるがそれはまぁ置いておこう。
婚活における深淵とは『お相手』そのもの。自分が見定めようとしている時、またお相手も自分を見定めんとしているのだ。
これは人とのコミュニケーション上最も基本的な原則であるのだが、ここに『婚活』という単語が加わることで途端忘れられてしまう事が多い。
つまり相手を『商材』と見て、ただ都合のいい人を探してしまうという事に終始する人が一定数いるのだ。というか基本的なボーダーを設けている時点でそうならざるを得ないと言うべきか。
ただそのまま人を人と見ずに忘れてしまう人も少なからず居る。これは、とら婚の中の人が『もうヤダみんな前見て(TAT)』って嘆いてたので知ったのだが……。
とら婚> https://toracon.jp/
メイン> https://twitter.com/toracon_akiba
名古屋> https://twitter.com/toracon_nagoya
コミュニケーションサポートの職業な人は大変だなぁ。今度また菓子折りだけ持ってこう。中の人は菓子折りよりとら婚を広めて! と言っていたけど、こう……紹介したくても紹介する友人が現住所地に居ねぇんですわ……。ほんとあの、ともだちいなくてごめんね?
で、だ。何がいいたいかって言うと、俺が見定めた相手もまた俺を見定める側ということ。この関係性、前述の通りごく当たり前のことなのだが……この前提を明示すると事情がコロリと変わってくる。
言葉を言い換えよう。
俺が口説いている相手は、俺を異性として見定めようとしてくれている。
感情がLoveかLikeかは分からないが、どちらであるかを見定めるため、俺と向き合うと宣誓したのだ。これ、ちょっと嬉しいよね。ちゃんと意識してくれるって、本気で考えてくれるってすごく尊いことだよね。
ディスコミュニケーションな日本人で、ここまでハッキリと、真っ直ぐ伝えてくれる人って中々居ない。だからこそ言ってくれた時は本当の本当に小躍りしてガッツポーズしたものだ。
だから此処から先は俺次第。少なくとも彼女の心境はLikeであることに変わりはなく、此処から先の出方でどちらに揺れるかが変わる。
俺はまだ入り口に立ったばかり……だからこそ繰り返そう。
『深淵を覗き込むとき、深淵もまたこちら側を覗き込んでいるのだ』
ならば俺がすべきは何か。
真摯たること。
好意を抱いていること。
手を差し伸べること。
隣りに在る事を望むこと。
共に未来を切り開く意思があること。
貴女にしてあげたいあらゆる事があると示すこと。
健やかなるときも、病めるときも。
喜びのときも、悲しみのときも。
富めるときも、貧しいときも。
これを愛し、これを敬い。
これを慰め、これを助け。
その命ある限り、真心を尽くすことを誓う。
俺は八百万を信じる者であるから、キリスト教信者ではない。だが教義が示す誓いの言葉はたしかに信じるに足る覚悟が潜む。
そう、俺という人間の覚悟は決まっているのだ。なら後は本当に走り出し、あるいは歩き続けるだけでいい。待つことは苦痛ではない、ちいさな喜びの連続である。
ここさえ忘れないで居られるなら、後は相手がどう見返してくれるか次第。
たとえ道が分かたれたとしてもそれは悲嘆ではない。残念に変わりは無いけれど、しかしそうあれたという事自体が幸いといえよう。
故に進もう。覚悟は決まった、後は見てもらうだけなのだから。
ではコンゴトモヨロシク。
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