☆ONE DAYS☆

 ハツミは少し冷ました枝豆を一つ摘まんで味見をする。


 「少し硬かったかしら?」

 

 「まぁ、いいんじゃないかな。ビールのつまみにはちょっと硬いくらいのほうがうまいんだ」


 僕は言う。

 

 「そんなものかしら?」

 

 「そんなもんさ。でも茹で加減よりも何よりも、少ししょっぱいよ、これ」

     

     *

     *

     *

 

 今朝のテレビのトップニュースも新聞の一面も、とある古豪のコンツェルン企業が完全に財界から消滅した旨を大々的に取り上げていた。


 その『坂口』という企業は一昔前までは相当な栄華を極めていたらしい。


 しかし、バブルの崩壊とともにグループ全体が衰退の一途を辿り始め、それでも相当な粘り腰を見せはしたけれど、ここに来てとうとう力尽きてしまったようだ。


 盛者必衰とはよく言ったものだと、テレビのコメンテーターは何やら得意そうな顔でそう話していた。


 そんなものかしら?


 そんなもんさ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

その背中を、呼び止めて…… ~孤独を運ぶ舟~ @YAMAYO

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ