幽霊や化け物ではなく、あくまで日常の延長にある出来事が自分を暗い世界へと追いやっていく、そんな未知の体験を楽しめる? 作品です。
猫刑事という、いっけんどこか可愛らしい響きを持ったキーワードですが、読み終える頃には、到底言葉では言い表せないような感情を、その存在に覚えてしまいました。
また、登場人物の関係性と、それぞれの過去も深く練られていて、見所が盛りだくさんです。特に、主人公と妻のやり取りは正と負の面が非常に上手く織り込んであり、決して綺麗事ではない夫婦の生活を、丁寧に描写しています。
独自の視点に基づいた、素晴らしい一品でした。