うわ、軽率……!

大澤:やっぱ現状、わたしやチヒロさんがやってることって基本的にはわたしなりチヒロさんなりのやる気で回っているところがあって、もうわたしたちがある日「やーめた」ってなったら終わりじゃないですか。で、わたしの場合は特になんですけど、不安要素として「わたしが飽きる」という可能性が無視できない大きさで存在していて。でも、わたしが飽きてそれで終わっちゃうようだとコミュニティの強度としては弱いんですよね。立ち上がりまでは採算度外視で頑張るにしても永久には無理なので、わたしが抜けてもまだなんとなく勝手に回るくらいまでに成長してくれると理想的。


藤沢:大澤さんとこの企画には、小説に対する強い愛があるから……。その魂を継承するかたが複数いたらコミュニティが自律成長していくのかも? 小説、というか、創作全般に対する愛?


大澤:本物川小説大賞に関して言うと、なんかノリではるかなさんって別の人が主催を引き継いでやってくれて、わりとうまく回ったんですよね。こういう感じで、創作企画も「じゃあ試しにやってみようかな」っていう人が現れて順繰りにバトンされていくようになったりすると安定感が増すんじゃないかと。で、「今はチヒロさんのところでこれやってるからあっちで遊んできなさい」とか「はるかなさんがこれやってるからいってらっしゃい」みたいな感じで、開催情報をシェアするだけで楽できたらいい感じかなって。どうも、なんらかのキッカケなり締め切りが定期的にほしいという需要はあるようなので。


藤沢:たしかに、皆さん締め切りを求めてるんでしょうね。だから同人誌のイベントなんかもあれだけ盛り上がるんですよね。「進捗が~」「原稿中です~」と嘯きあう文化はあんまり好みではないんですが、締め切りはないと書けない。そしてサークルは楽しい。「あっちで遊んでおいで」「あっちでトイレしといで」と仕向けるの、羊飼いみたいでいいですねぇ。書く方たちを羊みたいにいうのはよくないか。


大澤:個別の創作はもう本当に大変なので、どれだけ多数になろうともざっくりと扱うべきものではないんですが、でもマクロな視点で企画を回していこうとすると羊飼いてきな側面はどうしても出てきますね。ハーメルンの笛吹きでもいいですけど。無責任な笛吹き係楽しいですよね。


藤沢:北海道の作家仲間とやっている「キタノステラ」という企画がありまして、その宣伝用につくったnoteがあるんですが、ココの場所は、運営のピックアップのおかげで一定のフォロワーさんがいるので、今後、自走するメディアに出来ないか考え中です。広く寄稿者を募るなどして。大澤さんもよかったらぜひ。


大澤:いいよ~(軽率) 北海道にゆかりはまったくありませんが。わたしは今のところ活動がぜんぶweb上で完結してるんですけど、やっぱこれから物理的な本だったり電書だったりってひとつの形として残していくみたいなことはやっていきたいなと思っていて、そういう点ではチヒロさんはいろいろと先を行ってらっしゃるので今後もなにかと相談はさせていただくかも。わたし自身がインデザを覚えるのが一番早そうなんですけど、勉強にあてる時間がなかなかとれなくて……。DTPやっていきたいですね。


藤沢:ああ、一緒に出版社やりますか!?


大澤:え? いいよ(軽率)


藤沢:うわ、軽率……! ブレーメンからハーメルンへ、というのは、出版社へのジョブチェンジってことかもしれないですね。


大澤:これけっこう方々で言ってるんですけど、わたしは意外と自分で小説を書きたいっていう欲求はなくて、どっちかっていうと読みたいんですよね。読みたいから、ほら君たちも書きなよ~って煽るために書いてるところがあって。自分好みのコンテンツが読めるのならそれを作るのは自分自身でなくても別にいいみたいな意識が結構あります。だって自分ひとりで全部作るのって大変だし、やっぱり限界があるじゃないですか。理想としては、自分好みのコンテンツがにょきにょき生えてくる土壌を形成して、わたしはもうカウチに寝転がって読むだけでいいみたいなのが最高なんですよ。なので、実は作家よりも編集者とかコーディネーター向きなのでは? みたいな疑惑はけっこう初期からあって。羊飼いとか笛吹き男役得意だし。


藤沢:私は大澤めぐみ作品のファンなので読み続けたいのですが、それはそれとして、たしかに大澤さんは編集者向きかもなと思います。メディアを作りたい人なのかなと。そしていまは、メディアは作れちゃう時代になった。


大澤:メディア作りたいですね。やっぱ今はWEB上のコンテンツが多すぎて消化しきれないじゃないですか。ぼや~っと見てるだけでも届いてくるのってバズってるものばっかりになっちゃうんですけど、バズってはないけれどもわたし好みのコンテンツっていうのも理論上たくさんあるはずで。そういうのを一覧できるようなポータルは需要あると思うんですよね。ラノベ作家としての大澤めぐみをフォローしてくれている人は、絶対に大澤めぐみが好きなコンテンツも好きなはずですし。


藤沢:私は幼少の頃、雑誌や新聞やチラシの気に入った記事や広告をあつめて「じぶん雑誌」を作って悦に入っていたんですが、いま企画モノやアンソロジーを編んでるのってそれと同じ気分です。わたしもメディアをつくりたいほうで。でも絵を描いてお金をもらうのも好きです。


大澤:曲がりなりにも商業作家であるという看板は便利なので、まあ話がまわってくる限りは作家もやっていきたいなと思ってはいるんですけれども。本物川小説大賞やるにしても、今の「プロの作家(※嘘ではない)の講評がつきます!」はわりと便利ですしね。作家一本でやっていくのが厳しいだけに、その作家というトロフィーを使ってなにをしていくのか? みたいなのも重要だと思います。


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